実演鑑賞
満足度★★★★★
昨年8月に続きリピーター観劇。音楽と視覚と物語で楽しませてくれる「最高のエンタメ」だ。音楽は小編成の生オケが演奏(オケピの高いところで指揮者が見える)する本格派で、前回と同じエルザ役の三井莉穂の歌声は素晴らしい。新たにキャストに加わったアナ役の三代川柚姫の天真爛漫な明るさもひかった。
音楽の緩急の配置が見事で、まったく飽きない。例えば戴冠式の宮廷のダンスシーンが、エルザの悩みのバラードの前後や間に置かれて、変化をつける。2幕の冬山へ上るつらい旅の途中で、陽気な「ヒュッケ」の歌や、雪だるまのオラフが能天気に「夏が好き」とうたう。
「ありのままで(レリゴー)」のフレーズが、フィナーレで効果的に繰り返されて、劇としての音楽的統一感を作り出している。
氷の世界を作り出す視覚効果もすばらしい。エルザが宮廷の服から、氷の城のドレスに早変わりする演出も目に鮮やかだった。
かつて物語と音楽の統一を理想としたミュージカルから、いまや音楽とショー的要素が強い「メガ・ミュージカル」全盛の時代だそうだ。宮本直美氏は『ミュージカルの歴史』で書いていた。物語のない「キャッツ」や、セリフのない「レミぜ」、音楽の厚み・多彩ぶりもスペクタクルの豪華さも桁違いの「オペラ座の怪人」など。ディズニーのミュージカルは、メガ・ミュージカル路線の最先端であり、映画から舞台化された「アナ雪」は今その代表作になった。