魔界転生 公演情報 劇団キリン食堂「魔界転生」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    時代劇としては新味に欠ける
    過去、何度か映画化、舞台化されたご存知山田風太郎の時代小説の舞台化作品。天草四郎の島原の乱をモチーフにしているが、正直な感想を言えば、THEちょんまげ軍団SUPERなどちょんまげ軍団系の若手劇団がやっている芝居と雰囲気や内容がそっくりで既視感が強い。敵味方で区別したパンフレットの配役レイアウトまでそっくりだ。
    ちょんまげと違うのは、中村誠治郎や川隅美慎といったイケメン
    アイドル俳優を客演に迎えていることだ。
    そのへんは主宰の久保田さんがマーケティングを考えているのだろう。したがって、客席は彼らがお目当ての若い女性ファンが多く、一挙手一投足を「カッコイイ」「カワイイ」と喜んで温かく見守っている。
    だからというわけでもないが、芝居の内容には大いに不満が残った。
    HPやパンフレットに「大人のためのライブエンタテインメント集団」とあるが、
    大人が楽しむには幼稚すぎて、物足りないと思った。
    この劇団はアンケートをとっているので、「面白い率97%、感動率88%(前回実績)」と書いてあるが、だとすると、自分はさしづめ3%と12%の少数派ということになるのか。
    詳しくはネタバレで。



    ネタバレBOX

    「多くの民百姓、老人や女子供の犠牲を払って原城で幕府相手に戦をしたこと」を悔いていた天草四郎(中村誠治郎)は父とともに殺されるが、許嫁クララ(遠藤舞)の魔力を借りて怨念の魔界衆として復活し、幕府に復讐を誓う。剣豪荒木又右衛門や宮本武蔵、柳生但馬守宗矩、興福寺の僧兵で宝蔵院流槍術の始祖胤舜まで復活。クララは魔術を使うたびに、体が不具になっていく。
    宗矩の妬みから親子で対立する十兵衛(新井剣史)。徳川将軍職を狙う紀州徳川家の一派。島原の乱を平定した老中・松平伊豆守(大島つかさ)は誘拐された息子を殺されてしまう。
    四郎一派は江戸を焦土にする計画を実行するが、十兵衛は水門を開けて消火しようとする。
    現代語を交えたり、ギャグなどを取り入れ、わかりやすく見せようとする分、
    内容が軽くなり、感動は薄まった。
    演出の細部で気になったのは四郎の首をとる場面で、歌舞伎のように顔に布をかぶせないので、私の席からは首をとったあとも、四郎の顔が丸見えだった。
    根来衆のくの一お品が何度もとどめを刺されたのに「忍法死んだふり!」と言って死なない。下に鎖帷子を着込んでいたとか仕掛けを見せないとおかしい。
    水門を強調し、セットにも位置を示しているので何か仕掛けがあるのかと思ったら何もなかった。歌舞伎のように照明と揺れる水布を使えば、水を表現するとかできたはず。
    最後、なますのように斬られた十兵衛が平気で生きているのもおかしい。
    島原の乱で民衆の情け容赦ない虐殺を命じた伊豆守の家族愛を描く場面があるが、虐殺についての述懐がまったくなく、「これからの江戸は文化が支配する」なんて終幕、明るく言ってのけるのは納得できない。
    伊豆守の遠山の金さんばりのべらんめえ口調も気になった。
    四郎が生身の人間から魔物になって、変化したのがメークだけとは。
    魔物になっても歩き方がスタスタとそのへんのあんちゃんみたいだし、クララへの想いを告白する場面も生身の人間のときと変わらない演技。だから、内面の変化までは到底演じきれず、そのことが物語のあいまいさにつながるのはまずい。
    また、幕府を憎んでいると言いつつ、罪もない町人を生きたまま焼き殺したりするのも矛盾している。
    伊豆守の息子と娘を演じた子役(北薗亮介・下田澪夏)がラストシーンで四郎とクララの子供時代を演じる回想場面などは、洒落た演出だったが。
    時代劇は 子役が上手いとグッと引き締まるから不思議だ。
    天使と悪魔のダンスは下着姿で官能的。悪魔を演じた結樺レイナは
    コリッチでもおなじみの「ナインティーン春~旅立ち編~」の振り付けを担当している人。
    最近、時代劇を観なくなったが、昔から殺陣は好きでついつい見入ってしまう。この芝居でもそうだった。
    だが、全体を通して、雑な脚本と演出が目立ちすぎる。

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    2009/12/07 23:19

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