魔界転生 公演情報 魔界転生」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 2.5
1-2件 / 2件中
  • 満足度★★

    脚本・演出・役者の技量不足
    原作が好きな為、初めての劇団を観劇に行きました。
    キリン食堂、事前にHPで確認したら殺陣に自信あり、前回公演の評判も上々とのうたい文句。
    期待していましたが、がっかりしました。
    殺陣は、確かに数人巧みな方がいるものの、大部分のキャストが修練不足。
    ゲストの若手俳優達の芝居もいまいち。
    山田風太郎原作、と謳うには、あまりにも脚色が激しすぎる。
    『魔界転生』というタイトルに惹かれて観に行った人間にとっては、残念なことだらけです。

    ネタバレBOX

    以下、箇条書きになりますが感想を。
    ・ダンスシーンの衣装をもっと考慮すべき。
    天使と悪魔のストリップまがいの衣装に不快感を抱く人は少なくないと思います。
    ダンスの技量は申し分なしなだけに、そういった衣装の面でのマイナス感があるのは非常にもったいない。
    ・伊豆守の威厳というものがさっぱり感じられない。
    原作とは違い登場シーンも多く、重要な役回りなだけに、もっと厚みのある芝居をしたほうがよかったのではないでしょうか。
    伊豆守役の大島つかさの、江戸っ子調の軽い芝居は演出ミスだった。
    ・柳生十兵衛が、完全に伊豆守の下で動く幕府直属の人間となっていて、原作の飄々とした感が失われていた。
    ・柳生衆の死に際に、個々に見せ場を作っていたが、立ち回りに不慣れな感が否めない若手の役者達は、せっかくの見せ場が生かしきれていなかった。
    正直、一人死ぬたびにテンポが遅くなるだけであまり効果的ではなかったと思う。
    ・宝蔵院の転生シーンがないのはおかしい。
    佐十郎のエピソードを削って、宝蔵院のエピソードを見せてほしかったです。
    せっかく一人だけ槍で戦うという特異性があるのだから、そこをもっと生かした脚本にしてもよかったと思う。
    存在感のある役者を使っていただけにもったいないです。

    舞台オリジナルの登場人物や設定が、はたして必要だったのか。
    演出家が何を見せたかったのかがさっぱりわからない舞台だった。

    役者の技量不足も目立っていました。
    特に若い女の子達が、着物の着方が汚い。
    声も小さく、舞台に立つだけの基本が出来ていない人ばかり。
    その割にはアンサンブル的な立場で色々なシーンに出ているので、舞台全体の質を下げてしまっていました。

    以下は個人的によかったと思う役者さん達。
    ・荒木又右衛門役の永友イサム
    身体が小さいので最初は荒木としては迫力不足かと思いましたが、転生後の魔人としての不気味さ・凄みが素晴らしい。
    殺陣も見せ方を心得ていて安定していました。
    ・伊豆守役の大島つかさ
    伊豆守としては軽すぎるキャラクターになっていましたが、役者の技量は申し分なし。
    軽妙な語り口が面白いので、もっと明るく軽い演目で拝見してみたいです。
    ・年老いた巫女役の古内史子
    出番があの一場だけなのは非常にもったいない。
    舞台上では年齢不詳な老婆でしたが、チラシを見ますとまだ若い役者さん。
    老婆役のためにしゃがれた声で喋っていましたが、それでも声に張りがあり、セリフも聞き取りやすかったです。
    今後はメインの役どころで拝見したい。
    ・お品役のいぬいりさこ
    クララとの2人での会話の部分は、演技は素人のヒロインをぐいぐいひっぱって、うまくテンポを作ってくれていました。
    佐十郎とのシーンも、お品が巧みにセリフに緩急をつけて、棒立ちな芝居しか出来ない若いイケメン俳優を、「佐十郎」という役柄として成り立たせていたと思います。
    今回の舞台、天草役の中村以外のゲストは、お品がいなければもっと酷い出来になっていたのではないでしょうか。
    ・子役の2人
    子役というだけでほほえましく、高評価になるという部分を差し引いて。
    芝居をしっかりとしていて、とてもよかった。
    チャラチャラと喋るだけだったアンサンブルの女の子達よりも、よっぽど役者として完成されていました。
  • 満足度★★★

    時代劇としては新味に欠ける
    過去、何度か映画化、舞台化されたご存知山田風太郎の時代小説の舞台化作品。天草四郎の島原の乱をモチーフにしているが、正直な感想を言えば、THEちょんまげ軍団SUPERなどちょんまげ軍団系の若手劇団がやっている芝居と雰囲気や内容がそっくりで既視感が強い。敵味方で区別したパンフレットの配役レイアウトまでそっくりだ。
    ちょんまげと違うのは、中村誠治郎や川隅美慎といったイケメン
    アイドル俳優を客演に迎えていることだ。
    そのへんは主宰の久保田さんがマーケティングを考えているのだろう。したがって、客席は彼らがお目当ての若い女性ファンが多く、一挙手一投足を「カッコイイ」「カワイイ」と喜んで温かく見守っている。
    だからというわけでもないが、芝居の内容には大いに不満が残った。
    HPやパンフレットに「大人のためのライブエンタテインメント集団」とあるが、
    大人が楽しむには幼稚すぎて、物足りないと思った。
    この劇団はアンケートをとっているので、「面白い率97%、感動率88%(前回実績)」と書いてあるが、だとすると、自分はさしづめ3%と12%の少数派ということになるのか。
    詳しくはネタバレで。



    ネタバレBOX

    「多くの民百姓、老人や女子供の犠牲を払って原城で幕府相手に戦をしたこと」を悔いていた天草四郎(中村誠治郎)は父とともに殺されるが、許嫁クララ(遠藤舞)の魔力を借りて怨念の魔界衆として復活し、幕府に復讐を誓う。剣豪荒木又右衛門や宮本武蔵、柳生但馬守宗矩、興福寺の僧兵で宝蔵院流槍術の始祖胤舜まで復活。クララは魔術を使うたびに、体が不具になっていく。
    宗矩の妬みから親子で対立する十兵衛(新井剣史)。徳川将軍職を狙う紀州徳川家の一派。島原の乱を平定した老中・松平伊豆守(大島つかさ)は誘拐された息子を殺されてしまう。
    四郎一派は江戸を焦土にする計画を実行するが、十兵衛は水門を開けて消火しようとする。
    現代語を交えたり、ギャグなどを取り入れ、わかりやすく見せようとする分、
    内容が軽くなり、感動は薄まった。
    演出の細部で気になったのは四郎の首をとる場面で、歌舞伎のように顔に布をかぶせないので、私の席からは首をとったあとも、四郎の顔が丸見えだった。
    根来衆のくの一お品が何度もとどめを刺されたのに「忍法死んだふり!」と言って死なない。下に鎖帷子を着込んでいたとか仕掛けを見せないとおかしい。
    水門を強調し、セットにも位置を示しているので何か仕掛けがあるのかと思ったら何もなかった。歌舞伎のように照明と揺れる水布を使えば、水を表現するとかできたはず。
    最後、なますのように斬られた十兵衛が平気で生きているのもおかしい。
    島原の乱で民衆の情け容赦ない虐殺を命じた伊豆守の家族愛を描く場面があるが、虐殺についての述懐がまったくなく、「これからの江戸は文化が支配する」なんて終幕、明るく言ってのけるのは納得できない。
    伊豆守の遠山の金さんばりのべらんめえ口調も気になった。
    四郎が生身の人間から魔物になって、変化したのがメークだけとは。
    魔物になっても歩き方がスタスタとそのへんのあんちゃんみたいだし、クララへの想いを告白する場面も生身の人間のときと変わらない演技。だから、内面の変化までは到底演じきれず、そのことが物語のあいまいさにつながるのはまずい。
    また、幕府を憎んでいると言いつつ、罪もない町人を生きたまま焼き殺したりするのも矛盾している。
    伊豆守の息子と娘を演じた子役(北薗亮介・下田澪夏)がラストシーンで四郎とクララの子供時代を演じる回想場面などは、洒落た演出だったが。
    時代劇は 子役が上手いとグッと引き締まるから不思議だ。
    天使と悪魔のダンスは下着姿で官能的。悪魔を演じた結樺レイナは
    コリッチでもおなじみの「ナインティーン春~旅立ち編~」の振り付けを担当している人。
    最近、時代劇を観なくなったが、昔から殺陣は好きでついつい見入ってしまう。この芝居でもそうだった。
    だが、全体を通して、雑な脚本と演出が目立ちすぎる。

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