NO GOAL -HOMELESS WORLDCUP- 公演情報 青春事情「NO GOAL -HOMELESS WORLDCUP-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     板上は箱馬、二段の階段等を用いたセット。場転によりこれら小道具を移動してシチュエイションに合わせる。
     ホームレスワールドカップの存在を御存知ない方も多かろう。だが実際に存在する。2001年から毎年行われているホームレスによる世界的なフットボール(世界標準のこのスポーツ名はサッカーではなくフットボール)大会であり、通常のサッカーと出場選手の人数等も異なる。フィールドに上がれる人数はゴールキーパーを含め4人、控えの選手は最大4人迄である。
     私的体験で申訳ないが世界大会に関わっていたことがある。1993年日本でアンダー17の大会があった時のことだ。試合はいつもネット裏で観て居た。その感覚から見て、今作、フットボール(サッカー)の本質を良く捉えている。お勧めである。(追記2022.10.4 )

    ネタバレBOX

     今作の眼目は、試合開始半年前から本格的練習を始めたホームレスの参加選手達が各々抱えている問題を話したがらず、諸般の事情から現在の境遇に陥っているにも関わらず、世間からは白眼視されることも多く、とどのつまりは、ノケモノにされたり、差別されたりされることによって、自己主張することが元々苦手な人々が多い実情であるにも関わらず増々社会の周辺へ追いやられ、その結果社会参加への意志も挫け勝ちになることに対しフットボールという毬さえあればできるスポーツを通して個々人が他の人々と協働し人間として何等かの前進を遂げる為に催されていることだ。選手資格はBIG ISSUE販売者つまり自立意志を未だ持ち積極的に社会と関わろうという意志をも未だ持ち続けているに人々ということになる。だがハードルは低くない。それは社会からの偏見や彼ら自身が抱えている個人的な事情が関与しているケースが多く、今迄中々チームワークや協調性をも身に付けてくることができなかった事情による。
     この壁を乗り越えさせたのがボランティアとして関わった女学生が彼女の実家が経営している旅館合宿を提案・実現させたことであった。当初、彼女の母は得体の知れないホームレスがリピーターの多い老舗旅館で合宿することに懸念を示していたが、大会参加メンバーの一人が娘同様、登校できなくなりドロップアウトした経緯を知り、参加選手達を知ろうと努めるようになり誤解を解いてゆく。観客は母の遷移を通してホームレス達の個々の事情や具体的困難に向き合い、選手達・サポーター、一般の人々との関係の変容を非常に自然に追体験する仕組みだ。一般社会人の代表でもあるコーチのパスポート期限が切れていたことに本人が気付かずマネージャーに手渡したエピソード等くすりと笑えるシーンも埋め込み良い仕上がりである。

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    2022/10/01 15:58

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