コマギレ 公演情報 ラビット番長「コマギレ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い、お薦め。
    この劇団の魅力、笑わせ泣かせるという人間の感情を揺さぶるのが上手い。この作品は初演も観劇しており秀作と評した。
    その再演だが、初演に比べると少し物足りない。辛口になるが、将棋という勝負の厳しさ、ピリピリした緊張感、その引き締まった空気感の中に仄々とした人情味を出すことで、人の優しさ温かさを印象深く描き出すことが出来る、と思う。確かに本作の見どころも 女性棋士とその師匠対決がクライマックスに変わりはないが、将棋の世界、勝負の厳しさが他の将棋シリーズに比べ弱い。更に人間性は、一人主人公になった熊谷学の人生と人柄へ収斂したかのように思える。それを好む人がいるのも事実だが…。
    この劇団には、どうしても高みを目指す を求めてしまうなぁ。
    (上演時間2時間 途中休憩なし)

    ネタバレBOX

    セットは初演時とほぼ変わらず、二階部を設え、二階上手に対局室や小料理屋和室(襖)、下手に将棋解説用の大盤、一階はプロ棋士の将棋道場といった設定。BASE THEATERでは多くの場所を設定するよりは、本作のように道場と対局場という二元場面、現在と過去といった往還場面という緊密さをしっかり演出し物語を分かり易く展開させる。奇抜さよりは、万人受けするような しっかり観(魅)せる芝居に仕上げている。

    梗概…女性で初めて四段に昇段してプロ棋士として期待される天野桂子(岡本美歌サン)。一方、彼女の師匠である熊谷学棋士<六段>(井保三兎 氏)は引退を迫られる状況にある。初演時は、この2人が主人公であったが、本作では桂子の存在感が弱い。師匠は、何故プロ棋士になったのか、その生い立ち境遇を影絵仕立ての演出で情感豊かに描く。過去と現在の回想、それは天野家の食卓(カレーライス)や天野の父の人情の有難さである。人の温もりを知っているからこそ弟子育成にも情熱を傾けるし、熊谷将棋道場には人が集まる。そのもてなし料理が豚肉カレーライスである。

    見どころは、プロ アマ関係なく参加できる「将棋大会」で、アマ棋戦(名人)で連覇したが 結局 プロ棋士になれなかった大谷(大川内延公サン)とプロ最弱棋士・熊谷の対戦(と感想戦)だと思っている。奨励会で励んだ仲間や(年下)桂子に昇級・段で抜かれる口惜しさ。今は将棋雑誌記者になっている。熊谷からプロ編入を勧められるが、「将棋を憎んでいる自分には資格がない」と断る。まさしく勝負の世界である。そして将棋愛を感じる。
    天野桂子は脳梗塞で倒れ、一命は取り止めたが時々記憶が無くなるという後遺症が残った。復帰したが二手指し(反則)で連敗続き。先の超人戦ではライバルの女流名人・花下葉子(山本綾サン)が二手指しを自ら制してくれて勝つことが出来た。そして師弟対決へ…。病に倒れた桂子の辛苦の描き込みが弱く、彼女の勝負師としての懊悩が観えない。冒頭にプロ棋士として覇気ある姿、そして復帰にかける姿、その人間性を描くことで将棋 勝負世界(緊張感と高揚感)の醍醐味が得られるのではないか。チラシには「将棋は記憶の競技だ。天野桂子。職業、プロ棋士。人々に記憶される彼女の活躍。だがそれは平坦な道ではなかった…。」とあるが、記憶の「細切れ」の印象が強くなった。

    敢えて照明や音響といった舞台技術、その効果をあまり感じさせない。音響は駒音の響きを損なわない配慮。照明は大盤解説の中継ぐらいか。ゆえに役者の演技力が重要である。役者の演技は確かなもので、バランスも良い。初演時と違うキャストもいたが 概ね適役だと思う。天野桂子と熊谷学を比べたら、圧倒的に後者の人柄を描いていた。そこが将棋世界の厳しさから少し離れたように思う。
    次回公演も楽しみにしております。

    1

    2022/09/25 15:36

    3

    0

  • タッキー様
    「コマギレ」ご観劇いただきありがとうございます!
    これからも高みを目指していきます!!

    2022/09/27 18:42

このページのQRコードです。

拡大