天の敵 公演情報 イキウメ「天の敵」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    兎に角、話が目茶苦茶面白い。『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』をマーティン・スコセッシが自身の開拓したドキュメンタリー手法を用いて映画化したような作品。こりゃ面白い、誰が観ても納得の作品。観客は2時間強、酔い痴れた。

    澤田育子さんがベッキーや土屋アンナみたいで凄かった。多才な人だ。
    豊田エリーさんはこういう世界を描くときに絶対必要不可欠な存在なんだろうな。
    冒頭、舞台に食材を配膳する牧凌平氏と高橋佳子さんの佇まいが素晴らしい。観る側も緊張を強いられ、襟を正す。

    ネタバレBOX

    飲血によって不老不死の肉体を手に入れた主人公(浜田信也氏)。1895年に生まれ、今現在(2017年)も名前を変えてTVで活躍する健康料理研究家。ALS(筋萎縮性側索硬化症)を患っているジャーナリスト(安井順平氏)の取材を快く引き受ける。ジャーナリストは戦後まもなく現れすぐに消息を絶った伝説の健康食研究家との関係性を訊く。「彼の孫ではないのか?」と。主人公は「その男は自分自身だ」と答える。年齢が合わない為、何かの比喩だと捉えるジャーナリスト。主人公は最初から話を語り出す。第一次世界大戦時、シベリアに出征、山で遭難し飢餓で死を目前とする。そこに現れた謎の日本人、時貞(森下創氏)。完全食となる食材を見付け、日本の飢餓問題を永久に解決せんと理想に燃えている。帰国し医師となった主人公のもとを度々訪れる時貞。何度も死線を彷徨いながら自らの肉体を実験材料として完全食を探し求めていた。戦後、最愛の妻が癌に倒れ、主人公はある思い付きを試してみる。時貞が試さなかった唯一の食材、“血液”。

    この時貞の存在が魅力的で、荒唐無稽な物語に一抹のリアリティーを齎す。

    天の造りし“食物連鎖”の摂理。その生態系から逸脱した“天の敵“。罰として太陽の下を歩けないようにされるも、菜食主義者の血液だけを飲むことによってその戒めも突破。(物凄いアイディアだと思う)。

    『フォレスト・ガンプ』のように、日本現代史を綴っても面白かった。

    ちなみに『ヴァンパイア・クロニクルズ』(『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のシリーズ)では、ヴァンパイア・レスタトはカリスマ・ロック・スターになっている。

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    2022/09/18 21:29

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