宗教を扱った不安は杞憂でよかった。
映像系とHPを見ただけで言い切ってしまうのはもったいないくらい真逆。映像もなければ、音楽もあまり流れず、逆にいうと正統派の皮を被ったなかで「映像系」な処理を感じるのは二つ。
1、映画で重要なシーンだけを編集で削いだように、ポイントのみで出演するキャストが非常によい。
2、テーマがある故、セリフが濃い。小劇場はアート志向といいつつテーマを客席に丸投げしてる異常事態なんで逆に正解かと。特に手品師達がタネに付いて話す会話は濃くて好み。
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松尾スズキ以降に宗教ものを扱うのは、マジモンでタブーだったと思う。それは松尾スズキが正し過ぎて、どうしてもそれの劣化コピーになってしまうし、思想やパワーが松尾を越えてること自体まず無い。そういうテーマを今更扱いながらうまいなあ、と感心したのは宗教に対して「どうしようもなく共存」という収束における点だろう。大抵、御神体壊して終わり〜とかそういうのが多い中、これだけ現実感のあるオチはないだろうとぼくは思う。
創価学会とか幸福の科学が「オウム以降も何でまだあるの?」という問いに対するアンサーが少し入ってる。相手がまた人間だから、に尽きるのだが。『A』で森が興味本位で触れた部分より更に着地している。だからやっかいだし、心底恐い。観る前に「宗教モノ」に感じた不安は、一周してる感覚によって、杞憂に終わってよかったよかった。
(相対評価を避けるため★はどの公演にも付けてはいません)