実演鑑賞
満足度★★★★
沖縄戦の構図は、最近発掘された護郷隊の少年たちのことも取り入れて、アップデートされている。暗いガマの中ですべての劇が進む(たまに入り口から外に出るくらい)。そこに日本軍対沖縄県民、皇民化教育、ひめゆり部隊の悲劇から「命どぅ宝」の生きる思想に行きつく。満席の客席で、クライマックスではあちこちですすり泣きの声が漏れていた。
紅一点、ひめゆりの一人(清水緑)がこの芝居のかなめだ。「日本人として立派に死ぬ」ことにしがみつき続ける姿に、沖縄の悲劇の深さが凝縮されていた。性急に美しい死にあこがれるのは若さ故でもある(『戦争は女の顔をしていない』の元女性兵士たちもほとんど10代だった)。しかし、なぜそれほど日本人になりたいのか。そこには、沖縄を卑下する気持ちがあるだろう。すべての事大主義の根底にあるコンプレックスである。セリフには直接語られていないが、そういうことを思った。
ウチナンチュのおじい=防衛隊員を演じた大和田獏がよかった。ひょうひょうとした沖縄県民の実直さをよくしめしていた。扮装のせいもあり、大和田獏とわからずに見て、沖縄出身者かと思ったくらい。沖縄一中の教師(西尾友樹)が、熱血皇国教師だったのが今はつきものが落ちて戦争に批判的になっている。その変化が(なんとなくだが)軽いのが難点か。2時間(休憩なし)