飯縄おろし 公演情報 世の中と演劇するオフィスプロジェクトM「飯縄おろし 」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    なぜかふるふると涙が出て止まらなかった
    男子バージョンを観劇。宮沢賢治の世界感を彷彿とさせた作品だったと思う。オープニングとエンディングがお見事。このエンディングで泣けた。泣いた。
    雪深い山間の高校の教室が舞台。雪が降り初めて止む気配がなく、教室に閉じ込められてしまった高校生らの話。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    予選会での演劇の脚本起こしの為に6人の男子と1人の女子が教室に集まる。ここで彼らは山太郎やもみじさんと呼ばれている鬼女の話題になり、びびる。物語とは・・皆から恐れられていたもみじさんは、その昔、深山郷(部落)の人たちに親切にされた経緯があったことから深山郷の人たちだけには悪さをしなかった。しかし征伐隊がやってきて、もみじさんとその子供は殺されてしまったが、もみじの力は山太郎に受け継がれている。・・とこんな話だ。

    一方で彼らはそれぞれの進路について東京に行くもの、地元で公務員になるもの、家業を継いで畜農をやるもの、何もきまってないもの・・、それぞれが将来に向けて抱える不安を抱きながらも、その未熟な精神がゆえに不安に押しつぶされそうになった男子はついつい他人を攻撃してしまう。狡猾そうで、不躾な態度を取りながらも、彼の内面には憎しみを抱えた子供が潜んでおり、言動にはその子供の怒りが反映してるかのように・・。

    恰好の攻撃相手となったのは深山郷出身の男子だった。彼は役場に就職が決まったが、彼には部落出身という問題があり、だからこそ、他に就職口はなく、むしろ公務員になることしか選択肢がなかった。と知らされる。今まで人間扱いされてなかったのだった。役場では「部落の人が入ったら、皆と同じ扱いをするように・・。」とのおふれが出て、むしろ、同じ扱いってどんなか恐い。と不安に感じていた。

    「ああ、卒業したくね。そんでもずっと教室に居られるわけでねえ・・。何になるんかやー、おら達、何になるんかやーー。」

    ある男子生徒の父親は「生まれてこうやって生きてきたけど、何もええことなかった。」と毎日、息子に愚痴る。その息子は「東京に行きてー。」と嘆き、一方で東京からやってきた男子は
    「同じだって。どこに居たって同じだって。」
    「それでも行かなきゃわかんねえし。」
    「おんなじだから・・。」

    そんな希望と不安の入り混じった話をしながらも彼らの希望は山太郎だった。山太郎は皆が困ってるときっと来る。そんな幻想と妄想の狭間で、会長と呼ばれる男子は他の教室で10年後の柴田みはるに出会う。高校生だった柴田は東京に出て夢を実行するという希望があったが、「いざ、東京に出てきたら何もかも上手くいかなくて・・、何にもなってない。だけど、会長、柴田に会ったら伝えて。柴田があの頃、どんな思いをしていたか、それを忘れないで。10年経ったけどええだねえか、ええだねえか。今日ここにきて君に逢えたから・・。柴田みはるに伝えてほしい。」こう言って不思議な少女は居なくなってしまう。。

    そうして彼らは

    きっと大丈夫だ!これから先、10年20年経っても歩き始めるその為に。
    そして全員で元気に歩くシーンで完結する。(この部分で堪えてた涙が一気にあふれ出る)

    そう、未来は希望に溢れてる。そしてそれは自分次第だ。




    0

    2009/11/10 13:22

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大