実演鑑賞
満足度★★★★
天才生物学者のドク(小須田康人氏)は失職し妻子に逃げられ、今ではしがないタクシー・ドライバー。たまたま乗せた裏社会のボス(外山誠二氏)にある提案をすることで人生が変わる。
タランティーノっぽいパルプ・フィクション(安っぽい犯罪小説)で始まり、ちょっと想像がつかない展開に。一体これは何の話なのか全体像が掴めない。
月船さららさんの出番は少ないのだがエロ要素満点、話法にかなりの工夫を見る。何か『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』みたいな叙情性も流れる。
中盤、停滞してかなりテンションが落ちるが、クライマックスで見事に引っ繰り返してみせる。テリー・ギリアムの感覚、『未来世紀ブラジル』みたいな。
そのクライマックス、ボス役外山(とやま)誠二氏とコップ役山本亨(あきら)氏、それぞれの独壇場たる独演は空気を一気に変えてみせる。狂気と正気がくんずほぐれつ攻守がぐるぐる入れ替わる内に、自分が正気だったのか相手(世界)が正義だったのか最早訳が解らなくなる高揚。ハラハラ見守るだけのドクも観客も言い知れぬカタルシスに呑まれてゆく。
この力ずくのシーンが強烈で観客大拍手。