実演鑑賞
満足度★★★★
『無畏』
初演を駅前劇場でフェイスシールド汗ダラダラで観劇。その時は「ここまでやるか」と作家の覚悟に畏れ入る。ちょっと前だったらこの内容はヤバかった。1998年、横浜黄金町のシネマベティでジョン・ウー製作の『南京1937』の上映中、右翼が乱入してスクリーンを切り裂いた。兎に角この手のネタはあれやこれやで潰される。面倒を厭う企業はタブー化して問題を更に深刻にする。ネット全盛の時代、情報はダダ漏れ、隠蔽して封印してしまえば国民は騙されるなんて最早無理。ちょっと知性があれば南京で皇軍が何をしたか?なんてすぐに分かる。
2度目の今回、「作品として随分よく出来ているな」と感心。判り易く丁寧、無駄な遣り取りを削ぎ落としている。初演から弄ったのかは不明だが、かなり観易い。簡潔に松井石根陸軍大将・上海派遣軍司令官の南京大虐殺に至るまでの罪を暴き出している。
大量の書籍が机や床に三箇所山積み、椅子の上に積み上げられた書籍も二箇所配置。ただそれだけの簡素な舞台美術だが非常に効果的。
何故、日本軍は掠奪強姦虐殺放火を大陸中で繰り返したのか?
当時の兵士達が全てを告白するドキュメンタリー映画、『日本鬼子』(リーベン・クイズ)も観て欲しい。