実演鑑賞
満足度★★★★
素晴らしい作品。自分的にこういう方向性の作品は全面的に支持。地獄の末法の乱世、シリアスに煩悩と戦って超越者にならんとする若き僧達。鎌倉時代、1201年の比叡山延暦寺(滋賀県)が舞台。親鸞役の柿本光太郎氏が秀逸。彼の表情一つ一つがリアルな空気感を伝えてくれる。
ずっと生演奏を続ける「竜馬四重奏」の二人、ヴァイオリンの竜馬氏と鼓(他和楽器)の仁氏。要所要所で和琴(わごん)を演奏し浪曲調にうなる高谷秀司(たかたにひでし)氏。細かい工夫が効いていて飽きさせない。子役の男女二人が可愛らしかった。吉良藍流(きらあいる)さんと坂元明登君。こういう真剣に仏教と向き合った作品を今後も期待。
「南無阿弥陀仏」(阿弥陀仏に帰依します)を唱えたのは空也とされていて、法然、親鸞と続いていく。『仏説無量寿経』に説かれた法蔵菩薩の誓願、「全ての衆生(生物)の救済が叶うまで私は如来にはなりません」。而して法蔵菩薩はすでに阿弥陀如来となられている。このことから法蔵菩薩の誓願は叶っており、この世の生きとし生ける全てのものは救済されることがすでに約束されている。これが浄土宗、浄土真宗の教義の中核。