明けちまったな、夜。 公演情報 ゴセキカク「明けちまったな、夜。」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    二十代後半の若者が、今までの生き方を振り返り、今後の生き方を模索するといった一夜の物語。「生き方」について悩み、自分と向き合うといった内容は、等身大とも思えリアリティがあった。しかし、設定が有り触れており新鮮味に欠け、既視感ある話に思えたことが残念。

    鬱屈または重苦しい気持を解き放ちたい、その表現し難い感情を如何に上手く表わせるかが肝。物語の見せ場は思いを激白するシーンであろう。同時に特段の夢や希望を持たず過ごした男の後悔とも思える呟きが印象的だ。十代の頃のように無鉄砲な事は出来なくなり、かと言って分別臭くなるには まだ早い。そんな中途半端な年齢(情況・環境)の自分探しを上手く表現している。
    (上演時間1時間35分) 22.8.19追記

    ネタバレBOX

    舞台美術は、カラオケ部屋…ソファとテーブル、そして別場所にある喫煙所(2階)という シンプルなもの。物語は、高校演劇部の友人の結婚式の二次会という有り触れた設定。そこに男女5人(男2人が同学年、残りの男女3人が後輩)が集まり昔話と近況を語り合うが、何か気まずい雰囲気が漂う。実は、もう一人来る予定の男が二次会は勿論、結婚式にも現れない。冒頭から曰くありげな様子、それが謎めいており話の展開が気になるが…。

    物語は等身大の若者の姿を描いているようだが、高校時代に親しかった男2人の「確執」と「思い」、後輩女性の「恋バナ」と「思い」、夫々の建前と本音を激白する2シーン以外は、深堀したシーンがない。逆に激白シーンを際立たせるために、他は淡々と描いているようだ。
    何者にもなっていない27~28歳の男女の過去と現在を見つめる。見せ場はラストの激白シーンだから印象的とも思えるが、何となく既視感というか経験があるような。

    自分は、女性同士…夏目瑞季(岩本紅葉サン)と飯塚ゆかり(岩井美菜子サン)と男同士…奥川太一(岡本セキユ サン)と村松衛(後閑貴大サン)が激白する2つのシーンが見所だと思う。男女とも根底にある思いは、自分の方が相手より優れている、なのに何故か相手の方が上手く出来てしまう。そんな相手を見下した感情を露骨に表したシーンである。瑞季は高校の時にモテる女であり可愛いと自惚れていた。そして密かに奥村に好意を抱いていたが、今は ゆかりが奥村と同棲している。そのことが許せない。ゆかりは、瑞季からそんな風に思われていたことにショックを受ける。人の建前と本音、そして外面菩薩 内面夜叉が表れる。奥川は、演劇部 部長であり脚本も担当していた。しかし書けない時期があり、代わりに松村が書き評価を得る。見下していた男、そして 畏怖と嫉妬の思いから去ってほしい。そんな自分の身勝手な思いに嫌悪するが…。村松は母親が(若年性)認知症になり、介護や経済的な理由で大学を中退し演劇も止めた。松村は、引き留められるような言葉を期待していたのか。「そうか」といった素っ気ない返事に怒りを覚えた。こちらも自惚れている。いや互いのプライドなのだろう。
    奥川はホッとしたのか?喫煙所で漏らす言葉は「わからない」「分からない」「解らない」を繰り返すだけ。そこに社会(世間)との折り合いだけではなく、彼なりの苦悩が見えてくる。あとカラオケルームで二人きりになる強引さ。流れ的には喫煙所で…演劇的には無理な場所かな。

    高校演劇部から商業(市民)演劇を続けているが、そろそろ30歳代を意識し、周りを見渡せば結婚し子供が生まれている。このままで良いのか、その思いは表現者だけではなく、別の道(例えばサラリーマン等)を歩んだ人も多かれ少なかれ考えるのではないか。自分が本当にやりたかった事は何か?立ち止まり考える時期でもある。カラオケ店バイトの杉山(七里海流クノー サン)は高校の時は帰宅部で、夢中(仲間)になれるもの(者)がなかったと呟く。ここに公演の肝があるようだ。
    色々な衝突や苦悩などがあったと思うが、それでも確執を抱えながらも仲間がいる。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2022/08/16 17:38

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