リフラブレイン 公演情報 MCR「リフラブレイン」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    沁み入るどうしようもなさの先
    どこかチープな内輪もめ感に
    人生の重みがすっと乗って。
    笑って、外されて笑って、巡って突き抜けてさらにおかしくて。
    その、一番奥にある正直な感覚に、
    深く浸潤されて。

    MCRの世界を堪能しました

    ネタバレBOX

    多分、物語のプロットだけを聞いたら
    とても笑えるようなお話ではないのですが、
    そこに、櫻井流の切り取り方や
    人の表し方が重なると、
    絶望感を蹴飛ばすような絶妙なおかしさがはぐくまれ
    心をすっと浸潤するような軽さと深さが生まれる・・・。

    ガンの告知の場面にしても、
    両親のことにしても、
    お姉さんの恋のことにしても、
    1万円の巡り方にしても・・・・・。
    厳然とした事実があって、どうしようもないようないき詰まりが生まれても、その先の時間が普通にやって来て、物事が糾える縄の如く進んでしまうことのおかしさ。その突き抜けた感じや、受け入れるしかないことへのペーソスがたまらなく良いのです。

    痛みは包丁を振り回すほど深い痛みとしてそこにあって、でも、過ぎ去ってしまった時間や過ぎ去る時間の感覚がその色をしなやかに変えて。

    キレよく突んでおいて
    その突っ込みを打ち砕くようなぼけの説得力にやられたり、
    しっかりと絞り取ったように見えたエピソードがさらに膨らんで
    深く取り込まれたり。

    借金取りの「実は良い人」ぶりや、終盤に現れる幼いころの姉のイメージから、物語の世界観がしっかりと固まって。うまいなぁと思う。

    役者たちも、ゆとりを持って絶妙な間を作っていきます。客席対面の舞台もすごく良く機能していて、腰の入った役者どおしの絡み方をとても自然な感覚で味わうことができて・・・。

    パンとミルクセーキが醸し出す、逃げられない・・・、逃げたくもない、その時間のいとおしさに目が潤んでしまいました。

    力むことなく深く、さらに磨き上げられたMCRの世界にますます惹かれてしまいました。

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    2009/10/31 06:38

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