満足度★★★
実験と観察
寺山修司の
「人は不完全な死体として生まれ、
何年かかけて完全な死体になる。」
という言葉を初めて知った時は吃驚した。
19歳くらいだったか?
その切り口を知って、10年経ってからこれを観ると、
あまり大きな衝撃は受けない。
細部の観察なくしては楽しめない感じになっちゃう。
観劇というよか
実験を観察するちゅう感じやね。
これは完全に好みの問題になる。
自分が観察して、
何かじんわり受け取って
「観てよかったなあ」という気持ちになったのは
妊娠したショウコの最後の台詞だけだったかもしれない。
もちろんそんな瞬間に恵まれたのだから
価値があったのだけど、
ちょっと俺には作風がドライ過ぎた。
知人の久保亜津子さんを目当てに
五反田団を初めて観たのだけど、
このような「見方が決まってない観察型の作風」ではなく
主観的な作品も創るのだろうか。
主人公が一人いて、時系列に展開するタイプの
オーソドックスなレパートリーがあれば観てみたい。