頭痛肩こり樋口一葉 公演情報 こまつ座「頭痛肩こり樋口一葉」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2022/08/10 (水) 13:00

    座席1階

    こまつ座旗揚げ公演で井上ひさしが書き上げた作品。以前から見たいと思っていたが、今回の再演でようやくチャンスが巡ってきた。
    父や兄を失い、若くして戸主となって母や妹たちを赤貧の中で支えた作家・樋口一葉の物語。今年は生誕150年だ。一葉は生前、自分に戒名をつけていたというが、井上ひさしの着想は「生きながら死んでいる。だからこそ世の中がよく見えた」というところから始まったという。死者の魂が戻ってくる毎年のお盆を繰り返しながら物語は進む。舞台にどの場面でも仏壇があり、お盆の会話劇が舞台を盛り上げた。

    まず、花蛍という幽霊を演じた若村麻由美がすばらしい。この幽霊、自分を身請けして夫婦になるためのお金をネコババした老女を呪って出るのだが、実はその老女にも事情があり、その事情を作った「悪党」にもまた事情ありということで、世の中、人と人とのつながりの連鎖でできているということを舞台を通して提示する。一葉役は貫地谷しほり。彼女らしいメリハリのついた演技で、ピシッと筋が通った一葉の生き方を見せてくれた。

    女性6人による舞台だが、それぞれが個性があっていい。男性の身勝手なふるまいにたてつくこともせず耐え忍んだ明治の女性たち。「女が地獄に落ちるには三日もあれば十分さ」という熊谷真実のセリフは強烈。そんな社会を筆の力で変えたいと歯を食いしばる一葉の姿は印象的だ。

    劇中歌もいい曲だった。死者が還ってくる「お盆」らしく抑え気味の舞台セットと演出も奏功している。

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    2022/08/10 17:26

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