実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/08/08 (月) 13:00
座席1階
けしてハッピーエンドではないが、見終わって前向きになれる、少しの希望を分けてもらえるようないい舞台だった。
大阪で会社勤めをこなしながら、一人娘を育てたシングルマザー。入学金などは家計に響いたが娘は大学に入学し、とりあえずホッと一息。そんな中、東京から上司が転勤してくる。大阪トークにほんろうされながらも誠実な受け答えに、この母はすこしだけ好意を持つ。一方、娘はこれまで恋愛経験なしという人生だったが、中学のころからの幼馴染が偶然同じ大学に入り、急に意識しだす。これがなんだか初恋となりそうだ。イケメンに成長した彼との会話も増えていい感じになってきたが、大学で受けた健康診断で再検査の通知が来てしまう。
iakuのヒット作となったこの作品を、今回の再演でようやく見ることができた。映画化も決まっており、さらなるブレークとなるかもしれない。
回転ドアのように出演者が出入りして場面転換を重ね、テンポのいい会話で物語が進む。舞台が大阪で、東京から(正確に言うと千葉から)転勤してきた男を飛び込ませるという設定は、大阪と東京で活躍する横山拓也のうまいところかもしれない。
それよりも何よりも、この親子のそれぞれ恋の行方が今一つ暗くても、娘の健康に影を差す出来事が起きていても、舞台が閉じた後は「自分も、明日は少し頑張ってみようか」という気持ちになる会話劇がとても、さわやかに思える。
演劇でこのような気持ちを受け取りたいなら、この舞台、見ないと損するかも。