生きてるものか【新作】 公演情報 五反田団「生きてるものか【新作】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    こりゃ傑作!
    再演の「生きてるものはいないのか」はまだ見てないので先にこちらを鑑劇しました。
    初演の「生きてるものはいないのか」を見てるからいきなり「生きてるものか」でも全然違和感なかったけど、絶対に先にもう一方を見ていたほうが良いです。
    こちらの方が構造的に難解。
    でもそれを逆手に取った傑作!

    舞台は黒いピカピカ光る素材で作られた段差の浅いひな壇3段で構成されていて、シンプルだけど素敵です。
    暗転をあまり使わないからあまり触れられないけど、五反田団は地味に照明が良いです。
    主張しすぎない照明の使い方がうまい。

    ネタバレBOX

    最初、死体がゴロゴロと転がったところから始まって、逆再生でどんどん人が生き返っていくという「生きてるものはいないのか」のリバース。
    このギミックだけでもうこの作品は面白い!
    けど、やはりベースとして「生きてるものはいないのか」ありきの作品ではあると思うので、やはりこちらが後の観劇の方が良いと思います。

    「生きてるものか」はラストから始まるので、どんなギミックなのかは少し見ていると理解できてくるのですが、どんどん遡ってゆくだけでなんでこんなに面白いんだろう。
    死体と言っても呼吸してお腹が動いてたり、長時間横たわるので最初は皆明らかに不自然な横になってて楽な姿勢で横たわってたり、逆に後ろに歩いてゆくのも「後ろに向かって歩いてます」感じがそのまま出てたり、途中役者が思わず笑ってしまったり。
    五反田団のカッチリしすぎない、悪く言えばチープとも言える演出が逆に売りなのは相変わらずで楽しいです。

    オーディションで選んだ役者さんたちが魅力的で、この魅力を活かしつつ、ただ死んでた人たちの死ぬ前を逆再生してゆくだけで大きな筋も無い話をこれだけ魅力的にしていたと思います。
    前田司郎さんもかなり重要な役で出てきますが、これと大原を演じた枡野浩一さんの絡みがおかしすぎでした!
    前田さんがこのパンデミックの首謀者なのか、と臭わせおきながら、ああいう激安なオチというかネタバレに持っていくところはさすがです。
    漬物の研究だったのですね。
    「これからの日本の漬物は、大原さんの漬物か、大原さんの漬物以外かとなるでしょう」とか。スケール大きいんだけど、おかしすぎ。

    細かいくすぐり満載で、最初のこの舞台の構造を提示するところ以降は終始クスクス笑い続けて、という観劇となりました。
    いかにも五反田団らしい舞台で嬉しくなってしまいました。

    母親の存在が面白すぎ。死ぬ前の動きとか、覗き見してるところに逆再生で戻ってゆくところとか。
    藤堂演じる野津あおいさんが魅力的。でも素で笑ってたりする力の抜け具合がまた良くて。
    こごみ演じる島田桃依さんも五反田団に合った脱力ぶりが良かったです。

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    2009/10/19 02:52

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