実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/07/26 (火) 14:00
座席1階
sideAを鑑賞。セクシュアリティがテーマの舞台だが、結局のところ、問われているのは人間としての生き方なのだろう。激しい会話劇の末に、自分なりに得た結論だ。
登場するゲイカップルのうち、オリバーは真っすぐだ。フィリップは女性と結婚していてバイセクシュアルなのだろうが、激しく揺れ動く胸の内をオリバーの前で吐露する場面が出てくる。その二人の間を取り持つような形になっている女性、フィリップの妻であるシルビアが、物語のカギを握るような形で舞台は進行する。
sideAのシルビアは、元宝塚星組トップスターの陽月華。これがsideBの福田麻由子が演じるとどうなるだろうかと想像したが、まったく違う雰囲気になるような気がする。陽月の演技は切れ味鋭いナイフのようなイメージで、それは出演者だけでなく客席にも向けられた刃のようでもある。
セクシュアリティを語るとき、やはり決め手になるのはその人らしさ、ある意味で人間の尊厳である。舞台でも出てくるが、LGBTQは倒錯者という認識を持たれ、それは今でも変わらない。人間としての生き方、尊厳を勝ち得なければならないというマイノリティーの苦悩は、せりふの端々にあふれ出ている。
役者たちは皆、この難しい舞台を見事に演じきっている。この舞台から何を感じるかは、おそらく千差万別なのだろう。