TSUYAMA30-津山三十人殺し- 公演情報 PSYCHOSIS「TSUYAMA30-津山三十人殺し-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    他界後に漸く目にした高取英氏の戯曲の舞台、流山児事務所に続いて二作目は戦前に起きた猟奇事件を題した演目。阿部定事件と絡めている。朧ろな記憶で私は何故か津山事件の年代を敗戦直後、阿部定は大正時代(エログロと重ねていたようで)と勘違いしていたが、実際は阿部定事件が1936年、津山事件が1938年と近い。津山事件は犯人が徴兵検査不合格であった事と関係していたので、戦時中なのが自然だが、映画の影響だろうか、夫が出征した家の多い村で夜な夜な夜這いに出かける(誘われる)主人公が最後にブチ切れて殺戮に走るまでに「敗戦」が挟まったと記憶が塗り替わった模様(映画の原作は西村望「丑三つの村」)。阿部定の方は大島渚監督「愛のコリーダ」の生々しいフィルム画面が思い出される。
    無関係な二つの事件(一つは岡山の内陸、一つは都東京)を撚り合わせる手捌きに、作家性を感じた。最後に二人(都井睦雄と阿部定)は対面し劇的シーンで幕を閉じる。
    見ながらそう言えばこれにモメラスの松村女史が出ているはず、と思い出し、目で探した。当たりを付けた役がそれであった(後で答え合せ)が、中々鬼気迫る立ち姿であった(自分が見たのは素の姿とある舞台映像のみ)。
    俳優の動きに目を奪われるのがこの舞台の特徴。同じ制服を来た女子隊が幾組かあって人物識別は難しいが、役者一人一人の存在感があり、俳優名を見て納得した所でもあった。
    月蝕歌劇団の団員が立ち上げたユニットであり演技の表現形態は高取氏のテキストが要求する所なのだろう、「こういうのあるな」と懐かしい感覚に見舞われる部分もあった。
    高取戯曲を中心に取り組んで行くという。現代の息を吹き込む新たなユニットの今後の発展形に期待。

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    2022/07/25 15:05

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