満足度★★★
カフカの不条理な世界感を、断片的だが所々つながるエピソードとキャラクターで表現。
今度はカフカの世界です。
ナイロンやケラさんの最近の作品のようなストーリー性重視、感情移入に重心を置かない作風。
いくつものパートに分かれた構成は、ダンスあり、楽器演奏あり、バラエティに富んだ内容です。
これは、それぞれのシーンをただ楽しむ作品、率直に感じるための作品だと思いました。
冒頭、村岡さんら3名の俳優さんたちの、おそらく実体験を語るシーンから始まります。
その後場面は次々にかわり、短いエピソードが続きますが、先ほどの俳優さんたちの経験からでてきたエピソードや人物と、それに加えてカフカの小説の物語や登場人物たちが、
各パートにまたがって交錯して出て来たりしながら進行していきます。
それぞれは断片的に見えても、それまでに登場したキャラクターが出てきたり、部分的には話がつながっていたりする不思議な構成は、そのまま、カフカの不条理な世界感を表現しています。
特に【おっ!】と思ったのは、ハンディのビデオカメラを舞台上に持ち込んで、その場で撮影し客席に向けてスクリーンに投影する手法。
ペットボトルなどで作った人形でのテキトーな遊びを撮影し、その場でリアルタイムで、舞台上のスクリーンに映しだし、観客が観る。
その流れが、あらかじめ撮った映像に一瞬で切り替えて差し替えるのが面白かったです。