鉄塔13 【サーティーン】 公演情報 さるしげろっく「鉄塔13 【サーティーン】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    受け入れて生きる
    オープニングのダンスと音楽に見事に引き込まれ独特な世界への入り込みはすんなりと。舞台セットの演出も流石!白い布を客席まで敷き込みその上に白い砂を降らせて、どこまでも広がる白い砂浜の風景を演出していた。


    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    そんな美しい砂浜に突如として突き刺さったように現れる鉄塔。その名も13。アポロ13の残骸を思わせるようなその鉄塔は、かつて罪人の流刑地だった島に住む人々の見張り台としてシンボル化していた。しかし、このシンボルは放射能を放出しており、そのせいで島の住民は「子供を生めない」という島独自の法律に縛られている。

    そんな孤島にある目的を持って漂流してきた男は島の住人をF2型日本(ヒモト)ウイルスの人体実験として利用しようと企んでいた。
    このウイルスは本土で流行し感染すると死亡率100%という恐ろしいものだったのだ。漂流者はウイルスの研究者だったことから、政府の命令で島の住人にウイルスを感染させて経過を見るためにやってきたのだった。本土から見放されたこの島全体を研究の材料とするために・・。

    研究者はウイルスの元・蚊を数万匹と島に放し、島の住民はそれに対抗する。銃を持って脅す研究者に対して自分の愛しい人を守ろうと、とっさに体が動いて愛する人を庇う住人たち。

    そんな感動のシーンから物語はクライマックスを迎え、やがて島の住民は自分たちがどのようにしたら幸せに生きられるか、を重点とした法律に改正していく。結果、研究者の他に弧島にやってきた夫婦は無事に子供を生む事が出来る。一方で島で育てているハマレンゲにワクチン抗体があるという事実が解り、島の未来は愛と希望に満ちて終わるかのように魅せる。
    終わるかのように・・・。

    そう・・、鉄塔は彼らの島にいつまでも不気味に突き刺さっているのだった。



    遠藤大地(賢茂エイジ)の愛を貫く姿勢と独特のゆるいキャラがいい。コメディな部分を一身に背負っていたように思う。舞台は中盤、暴音によるアクシデントの為20分くらい中断したが、物語の流れに特には支障がなかったように思う。今回の物語はテンションが高くなるような壮大なスペクタクルでもコメディでもサイコホラーでもないが、どうしようもない不条理に島民全員が受け入れ共存し、その中で確かな愛を貫く、という覚悟のような物語だったように思う。

    今回の悪役・鮎川楓(佐藤健一)が中々の存在感を出す。
    彼の胸膜を食い破って恐ろしいケモノが飛び出したかのような演技。しかしこのケモノはべつに珍しいものではない。昔も今も誰の胸にだって住み着いてるものだ。それは人間の胸の底で、いつも胎児のように身体を丸めて息づきながら成長せずに寿命を終えるのをじっと待ってる。ただ、時折その口許に不運という餌が落とし込まれてしまう。ケモノはぱっちりと目をひらき、その餌を齧り齧り、齧り、齧り、全身に黒い毛を生やし、ついには四つ足で立ち上がる力を身につけてしまう。
    痩せた佐藤の身体がその演技に見事にマッチして悪役に磨きをかけていたのは言うまでもない。

    2

    2009/10/11 21:42

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  • ろっく>
    今回は思いもよらぬアクシデントがあって大変だったでしょう?
    それでもアクシデントがあったお陰で、楽しい体験をしました。
    役者が、暴音に負けないで演じていたこと。しかし舞台上から引っ込んだ役者陣が舞台裏では相当、慌てふためいてる様子が想像できて、舞台の表と裏の格差を観客に悟られないように演じてるさまが妙に可笑しくて(不謹慎だけれど)、楽しめました。
    そして、中断するという決意を決めた後のスタッフ、役者らの動きがお見事でした。いつものスタッフが泣きそうな顔で謝罪をした表情に感心しました。常に気丈な人もあんな表情をするんだなぁ。とか・・。そして終演後に主宰が舞台で本当に申し訳ない、といった表情で謝罪をし、その直後猿山にアイコンタクトで話を引き継がせた経緯などを見るとチームワークの完璧さが見てとれて、劇団の人間関係までも窺い知ることが出来ました。
    こんな経験は中々できない。笑
    外に出されてもワタクシの周りの観客は特に不満の声はなかったですよ。
    素晴らしい芝居をみせてもらうと、そういった不満は解消されるという観客側の感情なんでしょね。

    次回もいい芝居を期待しています。

    2009/10/13 01:23

    みささん

    黒木崎六九です。

    ご観劇&ご感想の書き込みありがとうございます。

    いつもながら細かい分析で恐れ入ります!

    楽しんでいただけたようで幸いです。

    今後ともよろしくお願い申し上げます。

    2009/10/12 17:30

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