実演鑑賞
満足度★★★★
音楽自身が生む高揚を劇に包摂する舞台を作るユニット、と認識しているが、今回は演奏が一人、プラスαの趣向で、そこ一点突破な劇構造だったな、と一日置いた後思えて来た。そう考えて漸く、私にとっての「第27斑らしい」範疇に戻って来た。つまりは実際の舞台はその狙い通りには必ずしも行かなかった、という結論になるが...致し方ない。。
架空の設定の特区での若者たちの群像が描かれ、擬人化された存在も登場するが、「SFは設定が命」と最近よく思う通りで今作も些か詰めが甘い。話の舞台は不老薬が配られる「未来の村」という特区での設定で、畦道が伸びるだけの過疎地に人を呼び込む政策意図がありそうなのだが、薬は有料であるとか、だから仕事を(自力で)見つけなきゃならないとか、幾分無理が(説明し切れてなさが)ある。だが、移住してきた若者たち(背景はほぼ説明されない)にとってのアジール的空間がそこはかと立ちのぼりそうなのが良く、ブラッシュアップされた舞台をまた観たい世界であった。