満足度★★★★
やさしい嘘とはったりについて。
人間は誰しも自分自身を肯定し、あわよくば人様からも認められたいと願う欲張りで狡猾な生き物です。
ひとりの青年のモノローグからはじまるこの物語は、人を信じることを忘却した人でなしが、人を信じる気持ちを取り戻すまでの過程が描かれます。静と動。光と影。生と死。弱さと強さ。相反するふたつのコントラストを強調しながらも柔らかな雰囲気が舞台全体に流れるのは、人とのつながりを本当に大切にしたいという気持ちのあらわれではないでしょうか。見終わった後は、何だか無償に誰かにやさしさをおすそ分けしたくなるようなあたたかな気持ちになりました。