【プルーフ】初日、一日目。
反りの合わない姉妹。偉大な数学者であり大学で講義を持っていた父親。彼を慕ってその元で学んでいた青年。妹と父親は愛着のある家で長きを共に暮らし、やがてその生活に終わりが訪れる。変わっていくもの。変わらないもの。受け継がれるもの。途切れるもの。答えのあるもの。答えのないもの。示し様のないもの。これは、ある証明を巡る物語。
誰が何を考えているのか分かりやすい点でいくとある意味「小部屋の中のマリー」とは真逆な様で、そしてまた似てもいたり。そう、この話は非常にスマート。『数学の話は難しそうだなぁ』なんて印象は冒頭の内に捨てたほうが吉。別に数式に当てはめた伏線とかは出て来ないから大丈夫。これ自体は人の在り方についての話。
過去の上演との比較。おやつの時間堂では企画の形式もあって「新鮮味」が、コロブチカでは「深み」があった。そしていよいよ翻訳者自らの演出。個人的には「適切」な印象。上演時間も大分スリムになって脚本をあちこちいじっただろうに違和感はないし、無理に表現を変えた箇所もない。演技の違いは役者の違いが根源であって、演出技法で演技面に特異な見せ方を引き出した感じはない。役者に任せる部分は任せつつ、しっかりチームで作られたのだろうと思う。この座組で上演するに当たっての「適切」。
自分が座ったのは最前列の下手席。たまたまだったけど、個人的にはここがベストポジションだった気がする。役者の顔もちょうど観たい角度で観られたし。とりあえず、舞台上を観る事に集中して入り込みたい人は中央通路からちょっと離れたほうが良いかも。
最後に『今後の活動の為にアンケートを〜』というお馴染みのアナウンスに対して「じゃあ、いつかはその今後があってくれよ」と心の中でレス。劇場は22時退館の様です。夜の回ならアンケートは途中休憩の間に書いたほうが良いです。