ランボルギーニに乗って 公演情報 劇団鹿殺し「ランボルギーニに乗って」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    主人公とその友人たちの日常の生活を描くパートと主人公が創作した空想の小説世界を描くパート、2つのストーリーラインが頻繁に入れ違い、互いを侵食し、影響を及ぼしながら物語が進む。

    ネタバレBOX

    こういう場合、日常パートはテンション抑えめで、空想パートになるとアッパーなテンションになることで緩急がつき、非現実的な空想が報われない日常の救いや逃げ場になっていれば分かり易い。

    けれど本作は日常パートと空想パート、2つの世界が共に賑やかで騒がしいため緩急に乏しく、また日常パートに悲壮感や閉塞感もあまり感じられないため「なんだかずっと騒がしい」状態が続く。これは主人公テルオ(松島庄汰氏)の見せ場を多く作るための措置なのかな、などと穿った見方をしてしまった。

    また、日常パート内に強迫性障害を擬人化した幻覚が現れるので、日常パートにも非日常的な事象が入ってくる形になる。そのマトリョーシカ的な構造が世界を豊潤にするより話の筋をややこしくする方向に機能してしまっているように感じた。

    終盤になるにつれ、ようやく日常パートがシリアスに描かれ、一方で空想パートがより一層賑やかで華やかな演出となるため緩急のメリハリがついて引き込まれた。最初からそういう構成だったら良かったのに、とちょっと残念な気持ちになった。

    20周年記念公演ということで役者陣からの気合はひしひし感じられたが、脚本自体の遠心力が弱いためせっかくの熱演が少々空回りしている印象を持った。

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    2022/07/09 16:16

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