バカの声 公演情報 ツツシニウム「バカの声」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     公演終了後に詳しいことは書く。然し乍ら、現代の病巣を鋭く抉った手口は鮮やかなもの。お勧めである。
     舞台上の3面総てに紐で作られた網目状の物が巡らされているが、無論我らを取り巻き、絡めとろうと張り巡らされた電網空間の象徴であることは明らかだろう。感の良い人なら、これだけヒントを出せば本質は簡単に掴めよう。お約束の追記7.20.若干重複する部分あり。華5つ☆

    ネタバレBOX

     ミノルとユウは飲み屋で知り合い意気投合、ミノルがユウに心を開けたのは彼が全盲で而も感が良くデリカシーもあって、何となく自分を曝け出しても良い、と感じることができたからだった。ユウは誘われるままミノルの住いに立ち寄る。ミノルの仕事は依頼を受けるとターゲットにされた人物の個人情報を徹底的に洗い出しSNS等にアップしてターゲットの人生を目茶目茶に壊すことだ。こんなミノルは7年前、家を出た。父が父に恋した女生徒・ヨウコの色仕掛けも告白も受け入れなかった為、ヨウコは父が彼女にセクハラをしたと訴え、父は無実を主張したが誰にも認められずに生徒達の目の前で自殺を遂げた。当然の結果としてミノルと妹のカホはセクハラ教師の子供として苛めに遭い妹は登校拒否、父の血を呪い、母と自分を置き去りに失踪した兄をも父同様毛嫌いしていた。ミノルは失踪後、7年間連絡も全く取らなかった。然し7年後のこの日、2人は駅前でバッタリ出会った。妹は売れない小説家の卵・ケイスケと付き合っており、デートの待ち合わせをしていたが売れない小説家である以上妹に負担を掛けていることを見透かされ「奢ってやる」と無理やり割り込まれた。
     ヨウコは相変わらず歪んだ心で今では人々を不幸に巻き込んでいる。唯己の悪を叱って欲しいという甘え故に。
     ミノルの家で時を過ごしていたユウは全く目の見えない境遇からヨウコの孤独を見抜く。ミノルの所へ何度も届いていた‟彼の正体を知っているぞ“との不気味な脅しを送って来た者の正体を、ミノルもユウの指摘から知ることになる。
     一方、ネット上で簡単なアルバイトを引き受けたケイスケは、ヨウコに嵌められて中身不明の荷物を届けたことによって爆発物事件に関わることになってしまった。何とか助かりたい彼はカホに縋り、カホは恨んでいる兄を自殺と見せかけて爆発物事件の犯人に仕立て上げ殺害する為兄の下を訪れる。そこで兄が妹に話したことは、父が無実であったこと、総てはヨウコの嘘の所為で父は自殺に追い込まれ、兄弟は苛めに遭って地獄を味わった経緯と事実であった。更にカホの計画も簡単に見破られてしまうことを立証、カホはケイスケに自首を勧め、彼をそれでも支える道を選んで兄の部屋を去る。カホの訪問中、ユウは手洗いに立っていて、カホが帰るのと入れ替わりに部屋に戻ってくる。残ったミノルとユウ、目の不自由なユウの為にミノルは言葉でこれから為すべき動作を指示しながらハグをし次に握手をする。即ち人としての友誼を紡ぐ。当然の事ながらヨウコは相変わらず独り、行く先は決まり切っていよう。
     ところで、今作ホリゾント、左右壁面には網のように線が張り巡らされている。この網は無論電網ネットに囲まれて生活する我らの空間を象徴している。だが、タイトルに現れるバカの指し示している対象は誰か? 表層で眺めるならヨウコの嘘に他愛もなく騙された世間、即ちネットを利用したフェイクに真偽も根拠も事実関係や因果、動機等々最低限客観化せねばならぬことをせず、名指された対象者を根拠なく指弾するミムメモの群れと取れるが、果たしてそれだけだろうか? 寧ろ作家が、これらの状況総てをメタ化することで登場人物及びそのキャラが描いている総ての人々(除外できるのはユウのみ)が電網世界で電妄に踊らされている姿なのではないか?

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    2022/07/08 02:37

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  • ツツシニウムのみなさま
     ハンダラです。遅くなりましたが追記しました。
    ご笑覧下さい。
                         机下

    2022/07/20 11:55

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