実演鑑賞
満足度★★★★
良い意味で年季を感じさせる、ゆったり落ち着いた雰囲気ある劇場、まさにこの劇場にピッタリな舞台美術。
(入場時、既に舞台上はライトアップされていて、開演前の撮影はOKとの事)
物語の中では幾つもの季節が通り過ぎていくのだけれど、涼風が通り抜けて行く夏、これが一番ピッタリとくる公演。
ズカズカと入り込んでくる人の往来が妙に心地良い。
昭和30年代、戦争の傷跡、当時の社会問題も取り入れながら描かれていく様々な人間模様。
その中でも物語の軸となるのは物書きの聡一とホステスの小春。
二人が出会った当初、現実から目を背け劣等感の塊みたいだった小春に向けての「これは沁みるなぁ」と感じさせる言葉の数々。
聡一の人柄には凄く好感が持てる。
こんなにいい奴なのに…だからこそ泣けてくる。
自分が壊れていくってどれだけ怖いのだろう
病魔にあがらう姿にも彼らしさが滲み出ていて泣けてくる。
これを小春目線で入り込んだら…
若い女性客の方は大泣きしていたけれど、やっぱりなぁ、刺さるよなぁと頷けてしまう公演でありました。