満足度★★★★★
3部通しで-贅沢なフルコースディナー
9時間近い作品を通しで観る不安はあったが、心配したほど疲れなかった。
ロシアの歴史もので印象的なのは映画の「戦争と平和」「ドクトル・ジバゴ」で、どちらも長編だが素晴らしかった。この作品もまた想い出に残る作品となった。
まず、当初購入した2階BOX席から舞台構造上見えづらいとの理由で、急遽劇場側が1階のBOX席に変更するというハプニングがあった。これが紗幕に挟まれた席で、通常なら舞台の袖に当たる。結果、舞台転換がすべて見えてしまう。役者の出の瞬間の表情を見られるのも興味深かった。スタッフの一員になった気分なのだ。これをおいしいと思うか興ざめと思うかは人によるだろうが自分は前者。開幕時、殺風景なテーブルの前に集まった稽古時のような普段着の俳優が解散して、扮装を始める。途中からは紗幕に隠れる部分も自席からはすべて見える。
難点は自分から見て反対側の舞台の奥が見えづらいことで、そのために
俳優が隠れてわからない場面もある。演説の場面で聴衆役の俳優の後ろから一緒になって拍手してしまい、思わずハッとした。完全に劇の中に取り込まれている(笑)。
通しで観終わっての感想は、集中でき、壮大な物語全体の流れが掴めるのが利点。理想的には、最初通しで観て、次に各部を観ることだろうが、時間的も経済的にも自分には無理(笑)。
やはり、トム・ストッパードという作家は素晴らしい。
まさに骨太の戯曲とはこういうのを指すのだろうな。
阿部、石丸、別所、勝村、この4人の主要俳優の熱演とロシアの女性を悠然と演じる麻実れいの存在感が印象に残った。
2009/10/06 21:14
2009/10/06 16:58
実はこりっちでない個人ブログに、いつも私がチケット入手できない垂涎物の公演の劇評を豪華ディナー付きで書いてくださるかたがいて、私もそれを読んで「観劇したつもり」になってるんですけどね。そのかたも上演時間であきらめた、と。体力ないからって。私もないですけど、座布団を持っていけというアドバイスをネットで読んだ人が教えてくれて。それで、お尻は何とか。いつも小劇場で2時間でも作品によってはグェッとなるのに、不思議と観ちゃいましたね。
内容は難しくて、この頭じゃわからんちん、なんですけど。革命の雰囲気だけ、ね(笑)。
毬谷さん(トンちゃん)はいま、ほとんど歌わなくなって「雨の夏三十人の・・・」(初演しか観てません。今回は観てない)で「毬谷って歌巧いのね」と言う人にビックリ。歌唱力をかわれて、在団中、外部の「シェルブールの雨傘」に羽賀研二の恋人役で抜擢されたんですから。今回の毬谷さんは、子持ちの娼婦役が印象的で、ドスのきいた声に、「これがあのブンガワンソロを歌った子?」とわが耳を疑いました。そのとき「ジャワの踊り子」でTOPを勤めたのが麻実れいさんですからねぇ。将来のプリマドンナといわれた澄んだ美声で、当時、東京宝塚劇場内で流す「さようなら皆様」「すみれの花咲く頃」のレコードは彼女が担当してたのです。今回は肌もあらわなドキッとするラブシーンがありました。オガリョーフの頭を豊満な胸にかい抱き、何しろ、清純派のイメージしかなかったのでちょっとしたカルチャーショックでした。こういう役を演じるようになったのかと。色なら濃いパープルってところですかねぇ。
物語に限れば、トリプルキャストでも、帝劇のようにロングラン公演があればよいのにとも思います。短すぎますね。