美しきものの伝説 公演情報 劇団東演「美しきものの伝説」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    有名な戯曲だが舞台を初拝見。島村抱月(鍛冶直人)の、日常的でしたたかな存在が印象的だった。文学座かなとおもったら、やはりそうだった。渡辺美佐子は、松井須磨子(=カチューシャ)役で、うぶな少女カチューシャを演じて、ユーモアがあった。89歳で(女囚服の背中「19231023」と、さりげなく渡辺の誕生日が書いてある)この青春群像のなかの松井須磨子をやるとはすごいことだ。

    同じ題材を扱った木下順二「冬の時代」があある。木下もあだ名で登場人物を命名していたから似ている。宮本のこの戯曲は演劇青年たちも絡めたところが違っている。

    戯曲としては二つの対話が肝になる。「幸せな民衆に芝居はいらない。祭りがあればいい」と語る抱月と久保栄の演劇対話と、権力奪取か権力否定かの堺利彦と大杉栄の革命対話である。特に大杉の語る極端な権力否定論は空論なのだが、空論ゆえのというか、妥協を排したひたむきな議論の美しさがある。初演当時には、既成左翼政党批判という側面も持ったのかもしれない。最後、真っ白な服を着て、陽光の中、パラソルを指して歩く大杉と野枝。まぶしく、まさに「美しきもの」の姿だった。

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    2022/07/06 23:31

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