満足度★★★★
シンプルな感動
文字どおり「中国の不思議な役人」のお話。
平幹二朗の圧倒的な存在感が成功の全てと言えよう。
私はこの俳優をTV「三匹の侍」でブレークする以前、東映の時代劇映画の「百姓その1」のような端役時代から観てきたから感慨もひとしおなのである。
人気公演への出演が多いため、チケットが入手できずなかなか観られない秋山菜津子をじっくり観られたのも貴重。
岩松了の軽妙洒脱な演技と相変わらずのたくらんだような微笑が好きだ。
初演時(1977年、当時は西武劇場)もヒロインの一般公募が話題になったが、
今回ヒロインを演じた夏未エレナも舞台姿はちょっと木村佳乃にも似た
なかなかの美少女ぶりで、初々しいが堂々としている。今後が楽しみな
女優。
白井演出は、アングラ味も残しつつ、洗練されていてシンプルな感動を
もたらす。
中国の歴史的事件が字幕でおびただしく羅列投影される場面が印象に残った。
たまには、人気俳優のミーハーファンで埋まらない、こういう落ち着いた雰囲気の客席も良いものだ。