満足度★★★★
わからないけど、素敵だった
正直言うと、昔から寺山修司はわからない。理解できたためしがない。
どうやら、鏡が出てくる芝居は理解に苦しむ頻度が高いな、私の場合。
でも、演出の白井さんの、寺山への愛は充分伝わった。白井さんの作り出す幻想舞台が、頭ではわからない寺山世界を肌で感じさせてくれた気がする。
ベテランなのに、今尚、新しいチャレンジをし、進化を続ける平幹さんには、感涙もの。だって、10代からファンだもの。平さんが登場した途端、舞台に躍動感が漲り、凛とした声が、劇場の隅々まで魅了するのが実感でき、胸が小躍りしてしまった。
宝塚の男役に引けを取らない秋山さんの軍服姿にも魅了された。彼女のユーモラスな振りには愛嬌があって、思わず顔がほころんだ。
無垢な若者を無垢な演技力の二人に配役したのも、熟練役者との対極が鮮明になり、この舞台では成功したように思う。
佐野洋子の絵本「100万回生きた猫」をふと思い出したりして、よくわからないのに、結構楽しんで観劇できて、不思議な満足感だった。