遺作 公演情報 男〆天魚「遺作」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    華4つ☆

    ネタバレBOX

     本番迄1週間。役者、演出助手は追われていた。果てしの無い切迫感と焦り、ところで何に? 見通しの立たない状況にである。未だ原稿が上がってこないのだ。入稿済みはオープニングのみ。それも三流劇団の、否歯牙にも掛からないような駄作という以外、現時点では評価の仕様が無い代物なのである。無論、今後の展開次第では、わざとそのようなオープニングにしてあることも考えられるが、推理作品。それも19世紀前半の貴族階級の間に巻き起こる殺人事件? 或は自殺。その真偽を確かめるべく登場人物の中に私立探偵、助手、そして警部がおり、獣医師も居る。
     作家に連絡のついた最後の時点では「新たなトリックのアイデアが浮かばず頓挫状態にある」とのことであった。脚本が無ければ演ずることが出来ない。出演者の数は客演の方が多い。詰め寄る客演俳優たちの追及に演出助手は咄嗟に嘘を吐いた。「漸く連絡が付いた、物語の流れはある程度掴んだということのようである」であれば30枚程度は何とかなるのでは無いかということでその場はひとまず収まったのだが。
     板奥は一段高くなってホリゾントに接しており、この一角に木製のしゃれた丸テーブルと椅子、目立たぬように箱馬。何れも落ち着いた色調である。この段の下手・上手が出捌け。上手出捌けの客席側に背丈の高い木枠。木枠上部から首吊り用のロープが垂れ下がっている。
     以上の文章の安定感の無さからも分かるように、各要素に全体的な調和が欠け、ミステリーなのにコメディー要素が入る、場面にそぐわぬ誇張が目に付く。死体発見時に履物に仕掛けた笛が鳴る等々の茶化しが入る等々、作品への破壊工作が至る所に仕掛けられていてわざとらしさが鼻につく。
     このしっちゃかめっちゃかが大団円に向けて収束してゆくのだが、一応ミステリーの体裁を採り上演中の作品でもあるので詳細は省く。だが中盤から劇団員たちと客演たちとの関係を結んで行く仲介者の働きを通して各演者の演技がキチンと生きて働くようになると共に、脚本が上がらぬ中での公演中止を避ける為に試みられた華やかで切れの良いダンス等の試行錯誤、最終盤で幾重にも重ねられたどんでん返しや、気の利いた悪戯を織り込むことによって、とどのつまり、芝居は役者の力量が高ければ何とかなるものだ、との結論を導き出している点は高く評価したい。

    4

    2022/07/02 12:11

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    1

  • Kazueさま
     アーティストが、そうで無い方々に勝る点があるとすれば、
    それはその魂がオープンで、総てを率直に観ることだと思います。
    率直に見、其処から得た情報だけを根拠に世界観の基本を作る。そして
    その基準に従って世界を測る定規とする。ここ迄がアーティストとしての
    幼年期、児童のレベルでは、この定規の検証作業、検証作業が終われば。愈々
    実戦作業の中での適用、失敗があれば、原因追及と正邪の判断、2元論で良いか否かの
    判断を経て、纏めた結果を用いて世界に対して再チャレンジ、これで成功してもしなくても、時代を如何に測るかを常に考え微調整を繰り返し乍ら、より精度の高い答えを求め続けること。自分に今、提言できる表現者としての道はこれだけです。お互い、切磋琢磨し合うことを望みます。よろしく。
                                ハンダラ 拝

    2022/07/12 02:54

    ハンダラ様
    ご返信ありがとうございます。
    重ね重ね貴重なお言葉をありがとうございます。
    演劇の灯を絶やさぬように微力ではございますがこれからも続けていく所存でございます。また劇場でお会いできますように。

    2022/07/11 18:47

    Kazueさま
     ハンダラです。生意気なことばかり申し上げてすみません。
    自戒を込めて、今申し上げられることは、読むなり、観るなり、
    接するなりした作品が何を訴えたよう                        
    としているのか? という視座を自らの全感性を以て理解しようと努め、
    自らが作品を創る時には、確認し得た批評を一度、自ら噛み砕いて
    自らの表現に自らの批評として先鋭統合化した上で
    適用し続けることなのでしょうね。こちらこそ、
    今後ともよろしくお願いします。
    コメント有難うございました。
                        机下
                                      

    2022/07/09 02:52

    この度はご来場誠にありがとうございました。
    作品へのコメントを読ませていただきました。
    大変貴重なご感想有難く存じます。
    今後の作品創りに役立たせていただきます。
    今後ともよろしくお願い申し上げます。

    2022/07/08 13:49

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