実演鑑賞
満足度★★★
26日午後、東京・下北沢にあるシアター711で上演された藤原たまえプロデュースVol.7『ほおずきの実る夜に』を観てきた。いつもなら知人である役者・古川奈苗が出演していれば観に行っていた藤原たまえプロデュース公演であるが、今回は藤原珠恵自身も脚本・演出に専念し、古川奈苗も宣伝美術担当と言うことでお目当ての役者が出演しないという状況ではあったが、藤原珠恵ワールドが展開されるであろう舞台と言うことで、他の予定をキャンセルして出かけたのであった。
舞台はコロナ渦の最中の都会と田舎。都会に出て有名女優二成ることを目指していた佐藤博美(モリマリコ)が主人公。女優を目指しながらも劇団を主宰し演出も手がけていた博美。しかし、コロナの影響で予定していた公演は次々中止となり、今回は何とか上演できると頑張っていた舞台も出演者の一人がコロナになってしまい結局公演中止に。心身共に疲れた博美は、半ば諦めの気持ちを抱きつつ故郷の島に帰ってくる。久しぶりに会う旧友達。しかし、故郷もコロナに翻弄されているのだった。毎年行われていた島の祭りがこの数年コロナのため中止に。今年こそ開催と、有志が集まって阿波踊りを披露することにしていたのだが、それも直前で中止と言うことに。劇団で演出も手がけていた経験を買われて阿波踊りの演出を頼まれていた博美は、故郷でも挫折感を味わう。しかし、有志たちの熱意もあって、非公式に阿波踊りを披露することが出来、博美はその熱意を土産に再び舞台を目指し都会へと向かっていく。
日本、いや世界がコロナに翻弄される中、ささやかな熱意とやる気が芽生えるという希望のある話だ。
上演時間は90分。
役者では、やはり主人公を演じたモリマリコの存在が大きかった。
また、とぼけた感じを持ちつつ肝心なところはビシッと決める劇団だるま座の剣持直明も活躍していた。
気になったのは、故郷の祭での阿波踊り。今、日本全国で祭と言えばヨサコイか阿波踊りかサンバといった風潮がある。劇中でも触れられていたが、東京では阿佐ヶ谷の阿波踊りは有名だ。ただ、阿佐ヶ谷の阿波踊りの中心は、本来の阿波踊りにある女踊りと男踊りのうちの男踊りを基本としてアレンジされたもの。この舞台で展開された阿波踊りもその系統だ。役者陣の構成などから考えて、祭→阿波踊りという発想なのだろうが、個人的に阿波踊りは女踊りと男踊りの対比で楽しみたいと思っているので、安易に阿波踊りが取り上げられていたのにはちょっとガッカリ。
さて、次回藤原たまえプロデュース公演から、藤原は本格的にプロデュースに専念するらしい。とりあえず、どんな舞台を作り上げていくのか、見届けてみたい。