はちみつ 公演情報 こゆび侍「はちみつ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    想う側の必然が伝わって
    物語はとてもわかりやすいのですが、
    想う者の熱に
    愚かさをがっつり凌駕するだけの必然があって。

    その強く逃げられないようなテイストに
    時間を忘れて見入ってしまいました。

    終幕前のシーンからやってくる、
    どこか醒めているのにぬぐいきれないような感覚が
    ゆっくりと深く心に残って。

    前回公演とは色の違った、
    しかし前回同様に
    強い印象の残る作品でありました。

    ネタバレBOX

    愚かな恋であっても
    それが止められないことに
    濃密な説得力があって、
    ただ息を呑んでその行く末を見つめていく感じ。

    働き蜂が憑かれたように働いて
    一生に集めるという
    ティースプーン一杯ぶんの蜜の重さや軽さが
    冷徹に置かれて、
    それゆえに
    はちみつ屋の二人の想いの必然性も
    有無を言わせぬ力を持って伝わってくるのです。

    挿入される
    はちみつ屋のお客様やメイド喫茶のエピソード達が織りなす「愛」の姿も、
    したたかに物語に厚みを作っていく・・・。

    負け続けた博打にすべてをかけようという感覚、
    さらには
    舞台が満ちる中で、
    働き蜂が女王蜂に抱きしめられる時、
    聴こえてくる羽音にぞくっときました。

    自らが意図しないものまでを女王蜂に奪われたそのあとに、
    蜜を失ったような愛を語り始める
    終幕の二人の会話の質感もすごく研がれていて。

    シャッターを叩く音が
    二人の想いを観る側に
    打ちつけていくようにも感じて。

    役者たちも常ならぬものを感じるほどに秀逸で、
    前回公演に続いて非常に印象の強い
    出色の舞台でありました。






    0

    2009/09/27 08:21

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大