満足度★★★★
ハードな『ワンダフル・ライフ』
気が付くと12のドアがある部屋に見ず知らずの面々と閉じ込められその日そこに来るまでの記憶がない12人の人々、一方、トラックの横転事故により負傷者が次々に運び込まれる救急救命センター…という状況から始まる物語、タイトルやチラシその他の事前情報から是枝裕和監督の『ワンダフル・ライフ』(99年)や劇団四季の『夢から醒めた夢』系統かと思いきや、一言で表現すれば「ハードな『ワンダフル・ライフ』」あるいは「裏『ワンダフル・ライフ』」といったところ?
そもそもが事故死だし、中には事故現場にいながらも実は絞殺されていたことが判明する者もいるし、それ以外でも違法行為がいくつか絡んでいて、サスペンスフル。(=コレはコレでアリ、どころか面白くて引き込まれる)
また、部屋の中の12人が順にドアをキーとして取り戻す記憶がジグソーパズルのピースのように組み合わさって、やがてそれぞれのつながりも見え始めるスタイル、最後の1ピースがピタリとハマって終わるのかと思ったら、確かにそうではあるけれど、むしろ根気強く並べてきたドミノの牌が様々な模様を描きながら次々と(というよりは一気に?)倒れて行くような感覚でワクワク。
そうして迎える結末は哀しみの中にちょとだけハートフルな部分があり、その配分が絶妙。
さらに「半円」以上「C」未満の上部照明(序盤の赤色灯も美しい)やフレームのみで表現した(それでも30kgあるそうな)ドアなど舞台美術もまた宣し。
2009/09/26 17:16
温かいコメントどうもです。今作は色々なご意見ご感想を頂いております。
僕個人の感想ですが、観る人もその時々で違うんだなって思いました。全員が面白い!と太鼓判を打てるのが素晴らしい作品と言う訳ではないでしょうが、6番シードもとい土屋は、ああ言う一面もあるんだとか、よっ!待ってました的な、そんな部分でもお楽しみ頂けたらなんて思ってます。
次回作、コメディです。これだけシリアスやった分、作家の脳みそは煮えたぎっていると思います。次回作も是非、ご期待くださいませ!!