パンクック 公演情報 9-States「パンクック」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    秋の日に、夏のほのぼの海の家
    事件とか起きたりするのだが、なんとなくほのぼの。

    失礼な話、こりゃ凄いと思わず唸る演技があるわけでもなく、物語も現代を切り込むようなテーマが鋭く現れてくるわけでもないのだが、105分ぐらいの上演時間はまったく長く感じることもなく、気がつけば舞台に集中していた。
    声を立てて笑えるところはなかったが、その雰囲気がとてもいい。

    ネタバレBOX

    いろいろなことを抱えながら海の家にやってくるバイトたち。彼らには、「人生の休憩」が必要なようなのだ。それは、都会から帰って来たオーナーの息子(リーダー)も同じ。それぞれの抱えていることがそんなに深刻ではないところもいいのかもしれない。それはとても普通なことに思える。

    海の家は、オーナーというお母さんがいて、きちんと叱ってくれるリーダーというお兄さんもいる。そして、互いのことを、ずけずけ言い合える友もいる。そんな中での「人生の休憩」が悪いはずはない。
    そこは、ごちゃごちゃしていても、言わば「癒し」の場所でもあるわけで、居心地がとてもよさそう。他人にかかわったり、口出ししてくれるような、こんなコミュニティは、今やもうどこにもない。

    しかし、一夏のアルバイトだったり、そもそも海の家というのが期間限定だったりするわけで、モラトリアムというか、休憩時間がいつまでも続くわけではないのがいいのだ。休憩時間にはきちんと終わりがある。
    その期間だけは、少し休んで、自分のことを考えてみようという時間であったわけで、夏が終わればそれぞれにまた自分の人生を歩み始めるわけだ。

    事件があっても謎解き的な要素はまったくなく、あっさり終わる。えっ? そうなの? という感じ。だけど面白い。
    口クラッカーや警官の張り付けなど、行き過ぎているところや、TVの「奇妙な〜」の音楽を使ったシーンなど、それは・・・と思うシーンもあったのだが、それでもなんとなく許せてしまう雰囲気があった。

    翌年の夏らしきラストのほのぼの感が、この舞台のすべてを表していたと思う。

    本筋とは関係ないが、オーナーの胸はなんか変だなあと思っていたら、ラスト近くでその真相が明らかになる。劇中でいろいろいじらないところに好感。

    これからもっと面白くなっていきそうな予感がする劇団だと思う。星は3.62ぐらいなのだが、その予感の分0.38を加えて4つにしてみた。

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    2009/09/26 05:22

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