コースト・オブ・ユートピア-ユートピアの岸へ 公演情報 Bunkamura「コースト・オブ・ユートピア-ユートピアの岸へ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    3部を観た!壮年の革命家たち
    激動の中で生きた彼らも壮年になって自分の人生を振り返れば・・。
    最終楽の後半は悟ったようなゲルツェンの表情がいい。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    失意の底にあったゲルツェンはロンドンに亡命。自宅をまたもや革命に失敗した亡命者たちの社交場として開放する。そこで新しい人脈を得てロシア・ポーランド自由印刷所を立ち上げる。以前から革命とは計画だ、自由な精神だ。民家の内的本質が形となって表れたものが革命だ。と考えていたゲルツェンは個人の自由こそが絶対的であるべきだと論じた『向こう岸から』のロシア語版を出版。この記念すべき一冊目を、亡き妻ナタリーとの息子に熱い想いとともに手渡す。

    やがて、盟友オガリョーフと共に大衆紙『鐘』を創刊する一方でオガリョーフの奔放な妻・ナターシャとの情事に走るも、心にはいつも亡き妻ナタリーがいた。

    1861年、ついにロシア皇帝・アレクサンドル二世が暗殺未遂され、ロシアは農奴解放を実現する。喜びもつかの間、自由になったと思いきや土地を使用するのにお金を支払うという矛盾のある不徹底な改革に落胆したゲルツェンは、流刑地から逃亡しテロを企てる強硬派のミハイルと決裂。暴力革命に反対するゲルツェンは、次世代の革命家たちにセンチメンタルな夢想家だからと批判され「死人」であると罵られる。

    壮年期を迎えた彼らとゲルツェンの胸に去来する長い間求め続けた「革命の意義、本当の人間の幸福」とは何だったのか?を思うとき、やっとゲルツェンは悟るのだった。
    「人生には1000の扉がある。その扉は偶然という名の門だ。どんなことがあっても前に進むこと。楽園の城を目指しても、そこにたどり着くということはないのだと知ること。ユートピアに向かって殺戮を繰り返すうちは幸福はない。この不完全な世界を我々が時代をいかに生きるかにある。」と。


    いあー、ホントすんばらしいでしょ?(^0^)
    最後の〆のゲルツェンのセリフには感銘して鳥肌が立ちました。全部は書ききれなかったけれど、人間は人生の後半になるとこのように悟ることが出来るんですね。
    革命家の誰しもがそれぞれのユートピアに向かって船出するのだけれど、彼らの理想や行動や団結が時代という波に揉まれて難破する。それでも前を向こうとして夢と絶望の間で思考し続ける彼らの姿に感銘しながらも、一方で、そんな理想を掲げる活動家である彼らが、同時に気弱で滑稽で不倫しまくりの自堕落だったりする。ヨーロッパって不倫が文化みたいな国ですわね、笑
    そんな生臭い人間ドラマが漂着した先は地に足のついた家族の幸福こそがユートピアなのだと気付いたのです。


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    2009/09/25 17:48

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