実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2022/06/19 (日) 14:00
登場人物は、東京のIT系の会社を辞めて地元に親の介護のため、戻ってきた男と、訪問介護のヘルパーさん、離れて暮らす妹のたったの3人で繰り広げられる小規模だが、濃厚で、時に笑いあり、その小さな世界に人のドラマが垣間見える劇だった。
男と訪問介護のヘルパーさん、途中から出てくる男の妹の会話を軸として物語が展開されていくが、言葉のズレや勘違い、話が一向に噛み合わないのに会話が進んでいったりするなかでの笑い、ヘルパーさんの天然すぎる性格やアクの強すぎる上に、それっぽい屁理屈を正当化する男、人の話に一向に耳を貸さない男の妹の存在感を誇張することによる笑い、シュールで、時に皮肉や哲学的要素まで絡む笑い、男とその妹による口論によるどちらの意見が正しいのかだんだん分からなくなり、延々と続き終わりが見えない会話による不条理な笑いなど、徹底的に笑える作品だったが、最後の中途半端な終わらせ方がリアルに感じた。
ただし、俳優の演技力も絶妙だったが、作品全体としてあまりに小品な感じがしたので、せめて、ラストシーンぐらいは予想外でインパクトのある場面に、強引にでも持っていったほうが、より磨きがかかってよかったと思う。