ほおずきの実る夜に 公演情報 藤原たまえプロデュース「ほおずきの実る夜に」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    面白い、お薦め!
    社会生活・活動もそうだが、演劇は稽古から本番まで、すべての段階で人と関わっている、と思う。それが当たり前のように出来ない状況が2年以上続いている。公演中止が珍しくなくなった ご時世、本公演も例外ではなく、昨(2021)年8月に中止延期したもの。この間の遣る瀬無い思いを物語に これでもか!というくらいに落とし込んで観せている。現実に苦悩してきた姿を投影し、それを乗り越えて上演を果たした”力強さ”。そして脚本・演出・プロデューサー兼任の藤原珠恵さんが「若中」の名入 法被を着て場内案内をしている。その元気な姿、当日パンフの言葉「楽しくいこうよ、人生は! 今を精一杯生きないとですね」と相まって元気と勇気をもらえる公演。

    少しネタバレするが、主人公・佐藤博美を演じた モリマリコ さんが、何故か藤原珠恵さんに見えた。モリさんが藤原さんに成り切ったのか、藤原さんがモリさんに乗り移ったのか?その憑依のような感覚と相まって 夏本番間近(まぢか)、冒頭の少し怖い話(サスペンス風)が描かれると…。
    (上演時間1時間30分 途中休憩なし)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、ほぼ素舞台。あるのは正面壁の上部に ほうずき、上手壁際にも鉢植えの ほうずき、下手壁際にミニ縁台、ビールケース その上に三宝や硝子瓶花が置かれているが、それは冒頭シーンのみ。中央は奥を一段高くしただけで広いスペースを確保している。この広がりが後々重要な役割を果たす。

    冒頭、暗闇の中で女性の叫び声、いったい何が起きるのかといったサスペンス風の始まり方である。その後「ようこそ不老不死村へ・・・」という台詞、そしてゾンビらしき人々が徘徊するといった光景…何なんだと思いきや、公演の稽古中という劇中劇である。そのタイトルは「それでもゾンビはやめられない!」らしい(作・演出:佐藤博美)。しかし公演初日を明日に控え、コロナ陽性者が…。公演を中止するか否か、出演者の間で喧々諤々するが、結局は中止せざるを得なくなる。あまりにリアルでストレートな展開は、本公演に係る舞台裏を見るようで、一気に興味を惹く。
    博美は心のケアのため、13年ぶりに帰郷(都心から2時間ほど離れた島らしい)する。地元の人々は優しい。今年は規模を縮小しての夏祭り、その時 阿波踊りをする。その演出を博美が担当することになり、再び表現する喜びを感じ始めるが…。

    色々と準備を重ね、いざ始めようとした時にストップせざるを得ない。理不尽とも思える仕打ちだが、誰かのせいにする訳でもない。実行するか否かを決めるのは、催事のリーダー(責任者)で、従うか否かを決めるのは個々人、その構図は演劇団体(劇団等)も社会組織(会社等)も大差ないのではないか(いや会社等は強制的な決定か)。その苦渋の決断が、今も続くコロナ禍という状況。誰かの せいにしたい気持を押し通せば、不寛容との悪評が流れる。経済的にも精神的にも八方塞がりの苛立ちが実にリアルだ。

    物語に潜む重苦しい閉塞感、しかし表層的にはプチ恋愛や家族愛など心温まる様子を前面に出した物語。阿波踊りの楽しい光景や博美のヤル気、そんなパワフルな演技が力強く伝わる。モリマリコさんの剛腕的な演技とは対照的に河野和彦役の剣持直明さんの柔和な笑み 柔軟的な演技が仄々感を醸し出し、上手くバランスを保っている。勿論、阿波踊りはフォーメンションを考えた定評ある藤原演出の見事さ。
    次回(来月)公演も楽しみにしております。

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    2022/06/23 17:43

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