「星灯り〜2022ver.〜」 公演情報 TEAM 6g「「星灯り〜2022ver.〜」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    面白い、超お薦め。
    (煽り表現は好まないが、「超」を付けた初例外)

    ずばりテーマは「気づき」「気遣い」そして「痛み」と言ったところか。それも夫婦や結婚しようとしている男女(最近はLGBTQも話題にあるため)が中心の物語。とは言っても底流にあるのは、幅広く相手を思い遣る心情、その大切さがしっかりと描かれている。緩い笑いを交え、実はその後にくる感涙シーンへの伏線になっており、笑い泣きの振幅が半端なく凄い!それが三波四波と(コロナ感染波数とは違い、良い意味で)感情を揺さぶるから堪らない。
    (上演時間2時間25分 途中休憩なし)

    ネタバレBOX

    舞台美術はTEAM6gらしく丁寧(理屈ではなく心情を重ね合わせ観せるため)に作り込んでいる。当日パンフに登場人物の相関図が書かれているが、大別すれば、大橋家・ペンションひなげし・そこの宿泊客になる。
    上手はカウンター、中央にダイニングテーブル、下手奥に階段、その手前にソファと低テーブル、後方は窓にカーテンがかけられている。これが大橋家になりペンションにも重なる光景(物理的)になり、さらには心情(精神的)にも重なってくるという、二重の意味合いを込めた造作の凄さ。違いがあるとすれば、下手奥にある置台の上、大橋家は固定電話、ペンションは花瓶花と写真立て に置き換えるなど細かい違いで見せる。またカーテンを開ければペンションのテラスになり ヒナゲシの花、さらにラストは客席天井も含め…心地良い余韻に浸れる見事な光景。

    縁あって夫婦になっても、所詮は赤の他人、妻・大橋梓(春野桃代サン)は夫・一樹(平田貴之サン)の心には誰も入れない(秘密の)部屋がある。本心が見えない、そんな心の溝が埋められないまま亡くなった妻が、生前 家出して滞在したのがペンションひなげし である。その宣伝文句が「日本一、星が近くに見える」である。一樹がペンションに行って思ったこととは…。
    ペンションを経営しているのが、亡き夫・優太郎(笑福亭ベ瓶サン)との思い出を大切にしている遠藤京子(阿南敦子サン)、その娘 綾香(渡部瑞貴サン)、そして優太郎の後輩・河合亮(山本龍兵サン)である。他に京子の妹夫婦が出入りし、宿泊客も含めて巻き起こる笑いと涙の超感動作。

    珠玉の台詞がいっぱいだが、両手の指の隙間から零れ落ちてしまう勿体ない感じが…。「1つくらい消えない痛みがあってもいい。そこ(心)に大切な人が生きていると感じられるのだから」や「ひとつの歯磨き粉を分けあって使う。揉め事があっても、翌日には食事の献立を考えている」等--そこに夫婦ならではの優しさ滋味溢れる思い、生活感が伝わる。それらの台詞(言葉)を発する役者の演技力は確かで、座組バランスも良い。

    当日パンフ裏面に、脚本:来住野潤一さんが「年齢を重ねると出会いよりも別れが多くなってくるように感じます。しかし、その人達との思い出に別れはないので」と書いているが、本当の意味での「死は、その人のことを忘れてしまった時」を思い出した。また阿南さんが「8年前に上演した『星灯り』を2022年改訂版として復活させました」とあるが、度重なる(コロナ禍)中止を乗り越えての上演は大変な苦労があったと思う。物語の感動シーンの台詞「ありがとう。(私と)出会ってくれて 幸せだった!」は、そのまま自分のこの公演に対する感想に重なる。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2022/06/23 13:56

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