残火 公演情報 廃墟文藝部「残火」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    「平成」にフォーカスしながら、いつか訪れる東海地震への漠たる不安を抱える少年と阪神淡路大震災で生き残った少女との出会いと、20年強にわたる交流を描くドラマ。
    両親と片腕をなくし、深い悲しみ、トラウマを抱えながらも生きるヒロイン「火花」の強さ、美しさが際立つ舞台でした。後に東日本大震災に遭遇することになる友人「歩鳥」も交えた日々の風景に、語り手の少年(後の青年)の持つ「カメラ」の視点が持ち込まれるのも(ベタだともいえますが)効果的だったと思います。
    3つの震災を並列にしそれぞれを主要な登場人物が経験するという筋立ては、(「平成」がそうした災害と共にあったという見立てにはうなづく部分もありつつ)図式が過ぎるとも感じましたが、俳優たちが発する今を生きていることの迷いや輝きが、その作為の跡を薄くし、ドラマをうまくドライブさせてもいました。

    ネタバレBOX

    それだけに終盤、架空の「東海地震」が多くの犠牲者を伴う形で起こり、ヒロインに死をもたらすという展開には非常に驚き、考えさせられました。「平成」を象るものを明確にし、ここまでに少しずつ積み重ねてきた生の喜び、強さを、逆照射するためだとしても、これは悪しきセンセーショナリズムなのではないか。2つの震災を、そのトラウマも含めて描いてきた時間はなんだったのか。疑問が残りました。

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    2022/06/16 17:02

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