ふすまとぐち 公演情報 ホエイ「ふすまとぐち」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    全編、津軽弁。あえて東京公演とのことで、基本的には津軽弁がわからない人に向けて、どこまでの言葉ならそこで起きていることが伝わるか/伝わらないか、意識的に言葉を整理されていたと思います。さらに事前の津軽弁講座がありがたく、教えてもらった言葉を探しながらせりふを聞きました。おかげで津軽の空気とともに、その場でなにがやりとりされているかも伝わったと思います。津軽弁の音も美しく、東京にいながら東北の土地の音を聞けたことは良い体験でした。

    ネタバレBOX

    冒頭のキヨ(山田百次さん)の爆発的なキャラクターからはじまり、登場人物たちがエネルギーにあふれていて引きつけられました。デフォルメされているとは思いますが、実は、一生懸命しゃべっている人達は実際あのように独自の威力があったりするので、ふと「見たことある……」という瞬間にも出会えるのも笑ってしまいます。
    笑うだけでなく、迷惑をかけあっても離れられない不器用で複雑な思いが交差していく様には、物悲しくも、愛しくもなりました。また、血縁者は離れられないからこそ離れ、非血縁者であるからこそ離れない……「家族」とはなんだろうと考える戯曲構成でした。
    また、俳優個々にパワーがあるため、言葉の端々から想像できる個別の人物背景は、もっと明確であってもよいのかなと思いました。それほど、今、ここ、で起きている生身の発信に力があったと思います。

    居間と押入れの間との間に壁があり(←舞台上にはないですが)一度廊下に出なければいけない、また、闇の向こうにある玄関という舞台美術と照明がよかったです。見えないけれど、そこにある壁。しかし少し手間をかけてくるっとまわれば到達できる空間。しかしその奥にはふすまが閉じている。また、どこか外の世界へと続いている戸口。それらは人物たちの関係性や心理をビジュアル化しているようで、それが田舎の日本家屋と密着していて、「家」に飲み込まれそうでした。

    公演期間中、また公演終了後に、Twitterのスペースでゲストを呼んだトークを企画したのがいいですね。上演時間が2時間ほどあり、アゴラで自由席だったので2列目までは低いイスだということを案内いただけたら腰が幸せでしたが……長くは感じませんでした。

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    2022/06/16 06:07

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