残火 公演情報 廃墟文藝部「残火」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    冒頭、唯一つけられていた道久のマイクと、作中のテロップ(年表)が、この作品における登場人物の物語とは別次元のデジタル的な演出でした。また、年表の項目のピックアップに法則性がなく個人的であること。それによって、今作で描かれる「時間(平成)」は、道久にとっての私小説なのだと思って観ました(もしくは作者の目線を通した平成)。

    ネタバレBOX

    道久を主軸とすると、道久から見た火花、道久から見た景色が描かれていき、それらが輝いて見えることが作品の引力となります。子どもの火花(瀧川ひかる)も、大人の火花(元山未奈美)も、難しい役どころながらとても魅力的でした。彼女の複雑な思いがほぼ表情以上で語られないのも、道久からの視点と思うと納得です。むしろ、もっと道久に焦点を当てる演出(立ち位置など)であれば、より全体の構成のメリハリがきくのではと思いました。もし群像劇であるのならば、幼馴染3人と皐月の関係性がより丁寧だとそれぞれの人生が折り重なってドラマ演劇としての深さが出ると思います。
    一方で、一部の人しか手に取ることができないのは残念なくらい、事前清算チケット特典の短編小説が登場人物たちの厚みを担っていました。

    震災については、事前に注意喚起アナウンスが必要なほど直球の描写でした。フィクションの地震が起こることや、その地震により火花に起きる出来事は、演劇というフィクションが描ける未来のifです。それらは道久の物語と考えるとすべて合点がいきますが、であるならばやはり道久をもっと主人公として引き立たせる構成(道久を中心に置いたり、または全員よりも一歩引かせたり)だと、後半の展開にも切実さが増すのではと想像します。
    ただそこで、火花のおばあちゃんである初枝の長セリフが、突然のフィクションのシーンに強度を持たせていました。年齢的にも難しい役だと思いますが、おぐりまさこさんが丁寧に演じていました。

    全体を通して俳優達が各シーンを引っ張っていました。小ホールとはいえステージには十分な広さがあるので、奥行きを感じさせる動線を引くと、より俳優が動きやすいのではないかなと感じました。

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    2022/06/16 06:06

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