パンドラの鐘 公演情報 Bunkamura「パンドラの鐘」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    23年前の初演の感動が大きすぎたせいだろう。今回は意外とおとなしく感じた。野田秀樹らしいおもちゃ箱のような遊戯性はもちろんあるが、最近の野田演出の舞台よりも群衆の数も少ないし、動きで見せるシーンは少ない。それよりも少人数の会話シーンが多く、意外と理屈っぽく感じた。

    筒を遠眼鏡のように除く大正天皇や、2・26事件のクーデターのモチーフがあったことはすっかり忘れてた。今回は、そういう歴史への目配りがよく浮かび上がった舞台だった。

    いやらしい俗物のピンカートン夫人を明るく演じた南果歩と、その娘のあっけらかんと態度をくるくる変える前田敦子の憎めない小悪魔ぶりがよかった。

    ネタバレBOX

    とはいえ長崎原爆と、昭和天皇の終戦を送らせた責任をつくラストは圧巻。成田凌の切々たるせりふ回しと、葵わかなの凛とした演技が良かった。

    ミズヲが最初に見た世界が真っ赤に燃える光景は、実は最後に見た光景だったという。しかし、結局、原爆の地獄はヒメ女の犠牲によって食い止められる。まりミズヲが見た光景はじっさいにはおこらない。これは歴史が書き替えられたことを意味する。この歴史の書き換えは、長崎出身の野田秀樹の願いでもある。ヒメ女とミズヲが「古代の願いが未来に届くか」「おれは届くに賭けるよ」と語るように。

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    2022/06/13 15:00

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