エレファント・ソング 公演情報 パルコ・プロデュース「エレファント・ソング」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    最初は院長が、癖のある患者から、失踪した医師の手掛かりを引き出そうとする話だが、次第に(というよりも、後半のある時点から)青年の生い立ちのトラウマが明らかになっていく。この後半の井之脇海の語りには引き込まれた。映像をこの重要場面に効果的に使った演出も見ごたえあった。ただ、入口と出口がことなるので、それを「意外な展開」ととるか、「ずれた結末」ととるかである。

    ほかの人も書いているように、入りは少なかった。中央通路の前のセンターブロックのみが埋まった状態だった。

    ネタバレBOX

    青年の父は南アフリカにいて、子どもの時に一度だけ遊びに行った。最後の日、サファリに行くと、父は大きな象を目の前で仕留めた。その像の悲しそうな眼が、青年のトラウマになる。
    母は世界を公演で回る人気オペラ歌手だった。南アフリカから帰った日、母は青年をやさしく出迎え、傷ついた心を支えてくれた。でもその日限りだった。
    数年後、母は自殺する。公演の失敗を悔やんで。帰宅して母が倒れているのを見つけた青年に、母は「愛している」とも「助けて」ともいわず、「三つ音を外した」と言ってこと切れる。
    「僕の存在ははずした三つの音以下だった」。青年の深い寂寥の源である。

    この少青年期のトラウマ話に私は共感できなかった。自分のふがいなさを親のせい、幼児期の体験のせいにするのは嫌いだ。それが原因で、自殺するとなると、なおさらついていけなかった。

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    2022/06/04 00:09

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