トラベリング・オン・ザ・シャーレ 公演情報 カムヰヤッセン「トラベリング・オン・ザ・シャーレ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 繊細で強い
    PPTで柴幸男氏が触れていたように
    お芝居としてはそれなりに難しさをもった前提・・・。

    でも、物語から実直に湧き上がってくるものが
    その難しさを凌駕して。

    さらには役者にも、舞台を支え切るに余るほどの
    しなやかさがあって。

    繊細で透明感があって、
    でもしっかりとしたモチーフをもった
    北川演劇に浸潤されました。

    お芝居に深く入り込むためには
    早めの入場がお勧め。


    ネタバレBOX

    開場と同時に舞台ではお芝居が始まっています。
    前方にいても、その内容はところどころしか聞こえないのですが
    舞台の時間はしっかりと動いています。

    そしてあわててやってきた最後の面接者の部分で
    客電が消えて本編が始まる。
    その時点で滑走を終えて
    物語が飛び立つ感じ。

    すっと主人公のキャラクターや
    物語の設定が入ってくる・・・。
    脚本が本当にしたたかで・・・。
    タイムトラベルという題材はPPTで柴氏がおっしゃっていたように
    矛盾が生じやすい、舞台としてはハードルの高い題材なのでしょうけれど
    それを感じさせない流れにすっと乗せられて・・。

    心やさしい物語では決してないのですが
    人が生きるぬくもりが伝わってくる。

    かつて強い偏見を持たれていた伝染病を借景にして、
    当パンの言葉のとおり
    人が切り捨てたものや選んだもの、
    さらにはその選択の中で
    生きていく姿が透明感をもって描かれていきます。

    その姿に不要な甘さがないから、
    でも、ビターであっても
    人が持つ想いをゆがみなく表しているから
    主人公が「古事不干渉」から解き放たれて、
    自らが選択した世界で生きていくことや
    主人公によって変わっていく周囲にあざとさがない。
    舞台に溢れだしてくる「人が生きること」そのものや
    切なさの先にあるものが
    単なる諦観ではなく、
    生きる意志との綾織であることの瑞々しさに
    じわっと心が熱くなりました。

    役者のお芝居にも
    舞台を深くしても重くしないような
    スムーズさと切れがあって、
    北川ワールドをがっつりふくらませて。

    よしんば、時間旅行というロジックが
    構造的に矛盾を含有していたとしても
    そのようなものは
    舞台の秀逸な質感に埋もれてしまうのです。









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    2009/09/04 07:07

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