実演鑑賞
コロナゆえの自粛生活中の、久しぶりの観劇でした。私はこの公演を仕事の一環として拝見しています。
ロビーも広いし客席も余裕があって…シアターイーストっていい劇場!1人ひとりの観客に丁寧に、でも邪魔にならないように接する会場案内の方々の気遣いが尊い(涙)。場内案内係の方々のアナウンスがマイク付きで、よく聞こえました。マスクの上からフェイスガードも被られてますものね。ダンス関係者っぽいお客様が多かった印象あり。そういえば東京芸術劇場の「芸劇dance」という枠組みの公演でした。ダンス好きな人たちっておしゃれな人が多いですよね~♪
先にご覧になった方が「観る前に当日パンフレットを読んだ方がいい」とツイートされていたので、隅から隅までしっかり読んでから鑑賞。それが功を奏しました。読んでいなかったら最初から最後までチンプンカンプンだった可能性大!終演後に上演台本(500円)を購入しました。
パンフ掲載の「カヌンとアルバニアの文化」(ブレンディ・バロリ+アルバナ・バロリ)に、アルバニア北部に500年以上前からある独自の掟「カヌン」の解説がありました。「血の確執と復讐の支配」は衝撃的ですが、それは「カヌン」の核心ではないそうです。まず「個人の名誉が大原則」で、その次が「人の平等」。「与えられた言葉(誓い)」、「約束の神聖さ」、「客と友人への敬意(おもてなし)」も原則に含まれています。多くのアルバニア人のメンタリティーでは「法律とその執行は義務ではなく交渉できるもの」とされていることに驚きました。私が親しんできた価値観とはかけ離れたものが現存、機能していることを知って、かなり心を動かされました。
開場時間はそんな充実したパンフを読みながら自省する時間になりました。場内には密度の高い空気が満ちていて、出演者もスタッフも準備万端なのだなと思いました。そして開演するなり未知の世界に没入させてもらえました。パフォーマンスに迷いがないんですよね。静かに集中している周囲の観客のおかげでもあったと思います。終演時の拍手も観客の気持ちが伝わる、それぞれの音が響きました。
私は客席に居て、我を忘れていいんだよと劇場に許してもらえて、存分に思考を開放しました。とても刺激的で、幸福な体験でした。安心・安全な環境だからできることです。劇場で、あの日、同じ時間を共有していた方々に感謝します。