リバーシブルリバー 公演情報 24/7lavo「リバーシブルリバー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    脚本・笠浦静花さん & 演出・池田智哉さん は期待通りの面白さだった。

    言葉を裏返すことで見えてくる「本音」と「建前」。人は、本当のことばかり言っているのだろうか。時に他愛(悪気)のない嘘をつくことがあるのではないか。「ホント」と「ウソ」を「本音」と「建前」を使い分けるに置き換えれば、人間の本性そのもの。そして物語の中で、いくつかの ひっくり返る事や物を用い状況が一転する面白さ。

    ただ、自分が観劇する際の癖のような意識が立ちはだかり、スッーと受け入れられなかった。主人公のように自分も天邪鬼的な意識がある。この★評価を信用して、いや 信用しないで自分の目で確かめてほしい。それにしても吉水雪乃さんの通訳的役割は見事、笑えた。
    (上演時間1時間40分 途中休憩なし)22.5.29追記

    ネタバレBOX

    客席はL字型。英字の曲がったところの対角線に舞台。セットは、真ん中にソファ、入り口側の客席近くにオセロ台。空き缶やごみ袋が乱雑に置かれている。前日に飲み会があったという設定だ。ここは都下にある大学に通う学生のシェアハウスの共同スペース(談話室のよう)、登場人物は個性豊かな男女10人。

    主人公は、浪人生・天竜ハジメ(平井泰成サン)で、昨夜の飲み会で嘔吐してから言いたいことの逆の言葉を発してしまう珍奇現象に悩まされる。周りの人々もその真意とは逆の言葉に惑わされ、本当は何を伝えたいのか分からなくなる。このハウスにオーナーの娘もおり様子を見に来ると言い出す。ハジメの真逆の言葉が、オーナーへの心証を害するのではないかと心配するメンバー達の右往左往する慌てぶりをコミカルに描く。

    「真逆の言葉」の意は、オセロ、リバーシブル ジャンパーといった物の表裏で、ひっくり返るを表し、途中から登場する大学4年生の天塩マアコ(寺園七海サン)の化粧の濃い薄い(ナチュラルメイク)といった違いで、そこに或る意図を込める上手さ。本当の自分らしさとは…。ハジメが嘔吐を繰り返すうちに、今の言葉は本当(表)か嘘(裏)なのか分からなくなる。そこに「本音」と「建前」といった人の本性が浮かび上がる。言っているのが、本心なのか逆なのか分からなくなるという可笑しみと怖さが併存し出す。

    表層的には、ハジメ役の平井泰成さんの奇妙な動きや逆の言葉を発した時のリアクションが、物語を面白くしている。そして嘔吐=吐露に通じ、ラストシーンで彼が心に抱えた問題を吐き出させる(謎が氷解)。我慢と自由の間を揺らぐ諦念と解放が言葉になって表われる、実に巧い展開だ。

    ハジメの言葉を真に受けず、逆であることを理解し通訳的な役割を果たすのが、1年生・阿賀野ルナ(吉水雪乃サン)である。自分(他の方も同様と思うが)は、役者が発した言葉(台詞)をそのまま受け、意味合いを解そうとする。例えば映像に日本語字幕(障碍者対応)が表示されても 音声で瞬時に台詞が分かり、ほとんど字幕は読まないのと同じ。ハジメの言葉は逆と分かっていても、いったんは そのまま受け止め、自分の中で(逆)変換する作業が少し煩わしかった。すぐ変換してくれる吉水さんの言葉を待てばいいだけなのに…自分も天邪鬼だなぁ
    次回公演も楽しみにしております。

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    2022/05/28 14:30

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