新釈 ヴェニスの呆人 2009 公演情報 コマツ企画「新釈 ヴェニスの呆人 2009」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    なんだよそれ!?
    台詞がいい、間の感じがとてもいい。
    ダークな中に笑いもあり、意欲的で刺激的ではあった。

    ネタバレBOX

    ダークな話が少しずつ露呈しつつ、実は、そのダークな部分の多くが主人公花子の作り話だった、というのが、台詞からストレートに受け取った内容だ。
    もちろん、最後の刑事の言葉がすべて正しいわけでもなく、どこからどこまでが真実で、どこが作り話なのかはわからず、いくらでも深読みできる話ではある。その感じは悪くない。

    ストーリーよりも、その見せ方がとてもいい。

    主人公が刑事(あるいは観客)に語る、ことの真相は、再現ドラマのように進行する。花子がまるで演劇の演出家のようにそれを取り仕切る。
    花子は、作・演出のこまつさんが演じているので、観客にはその様子がとても面白い。たぶん、実際の演出のつけ方はそうではないのだろうが、いかにも演出家が言いそうな言葉を役者に浴びせる。
    それに対する役者も、ホンネ的な独り言まで仕組まれていてそれも面白いのだ。
    ほんの少しだけ、メタな匂いがする。

    スタートは、わくわく感があったのだが、それからは意外とオーソドックスに思えた。ただし、出来事と出来事、言葉と言葉のリンクのさせ方はとても刺激的。
    オーソドックスと言えば、例えば、ボールを、人間関係を彷彿とさせるような使い方をしていたのだが、ボールをそんなふうに使うのは、あるなあと、冷静に思ってしまったのだ。少なくとも、このアゴラでも1回は観ていると思う。
    幕を落として、観客に向かうという意味付けもどこかで観たような感じがする。

    ただし、とは言え、とにかく楽しい90分だったのは確かだ。

    しかし、しかしなのだ。
    半ば強制的に観客が見せられた(客電が点いて、役者の1人が話し、すぐに始まったし、あの満席の中、出るに出られないし)アフタートークで、こまつさんが、オープニングシーンやラストシーンの意味を語りだしたのには驚いた。「皆さんわかりました?」まで言って。さらに今回の舞台がなぜできたのかまでも語る。なんとホワイトボードまで取り出して、10分では語りきれなかったようだ

    別に観客が、「どんな意味だったんですか」と質問したわけではないのにだ。
    「なんだよそれ!?」と思ってしまった。

    どうして大切なオープニングとラストシーンについて、言葉による説明が必要だったのだろうか。理解に苦しむ。
    観客を信頼していないのか、自身の演出に自身がないのか、不思議だ。
    そんなに観客が信頼できないのならば、観客が理解できるであろうレベルに「落として」演出すべきでは。また、単純に理解してもらえるかどうか自信がない演出方法ならば、変えればいいのではないだろうか。

    と、言うより、どうしても説明がしたかったのならば、今回は「演出する」という体で進むストーリーなのだから、せめて例えば、「ここのシーンはこういう意味だから」と花子に劇中で言わせたほうがよほどスマートで面白かったと思うのだが。

    今、舞台で起こったことがすべてで、その説明は本来必要ないと思うのだが。もちろん、アフタートークも芝居の中のひとつの内容であるのならば別なのだが(まさか? そんなはずはないと思うのだが)。
    作・演出・主演やってるんだし、言いたいことはすべて舞台の上で済ませるべきでは。

    とにかく、事実はどうあれ、私にとっては、このアフタートークの10分で舞台の90分が台無しなったような気がする。

    木の箱に薄いクッション1枚だけで、限界に近いほどお尻が痛かったにもかかわらず、「面白かったなあ」と思った気持ちを、萎えさせてさせてしまったアフタートークだった。

    アフタートークとお尻の痛さも込みだったら、星の数は2つぐらいになる。

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    2009/08/28 04:06

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